顧客理解を深める!BtoB企業でのCDPを活用した顧客管理強化:
CDP、CRM、DMPの違いを理解しよう

 2024.10.09  2024.10.16

新たな顧客体験創出等、顧客理解の重要性が問われているが、BtoB(企業間取引)企業では顧客データ活用が未だ浸透していないと見受けられます。今回は顧客データ活用の中核となるCDPについて、BtoB企業での活用の観点から紐解きます。

顧客理解を深める!BtoB企業でのCDP活用した顧客管理強化:CDP、CRM、DMPの違いを理解しよう

デジタルマーケティングソリューション

CDPとは

CDPとは

CDP(Customer Data Platform)は、企業が顧客データを統合・管理し、顧客体験を改善するためのプラットフォームです。CDPの最大の特徴は、様々なタッチポイント(オンライン・オフラインの活動や購買履歴、顧客サポートのやり取り、SNSでの行動など)から収集されるデータを一元的に統合し、顧客単位で管理することにあります。
従来、顧客データはマーケティングツールや営業管理システム、カスタマーサポートシステムなど、部門ごとに分散して管理されていましたが、CDPはこれらを統合し、個々の顧客に対して包括的な理解を提供します。これにより、企業は顧客に対してよりパーソナライズされたアプローチを行い、顧客体験(CX)を向上させることが可能です。
特にBtoB企業においては、複雑で長期にわたる購買プロセスや複数の関係者が関与する取引が多いため、顧客データの一元管理とその活用が重要です。CDPを利用することで、企業は顧客ごとの特性や関心に基づいて、効果的なマーケティングや営業活動を展開できます。

BtoC企業向けデジタルマーケティング支援概要
イベントレポート『デジタルマーケティングと向き合う ~ 遅れを取り戻すために ~』(CTC Forum 2023 パネルディスカッション)

顧客体験創出でのCDPの役割

2.1 データの収集と結合

CDPの第一の役割は、顧客に関連するデータを幅広く収集・統合することです。BtoB企業では、顧客との接点が複数のチャネルにまたがることが多いため、オンラインの行動データ(ウェブサイト訪問、メール開封履歴、ソーシャルメディアのアクティビティ)からオフラインのデータ(イベント参加、商談履歴、コールセンターでのやりとり)まで、様々な形式のデータを集約することが求められます。
CDPは、データの出所が異なっても統一フォーマットで扱い、顧客を中心とした包括的なビューを構築します。これにより、企業は顧客のあらゆる行動や関心を把握できるようになります。

2.2 顧客理解:顧客プロファイルの作成

次に、収集したデータをもとに個々の顧客プロファイルを作成します。CDPは、データを個別の顧客に紐付けて統合し、購買履歴、興味のある商品・サービス、過去の問い合わせ内容などを含む詳細なプロファイルを構築します。これにより、企業は顧客のニーズや関心を的確に把握し、パーソナライズされたメッセージングや施策を行うことが可能です。
特にBtoB企業においては、取引先の組織構造や複数の担当者の役割、関心分野を詳細に理解することで、営業活動やマーケティングの効率を大幅に向上させることができます。

2.3 施策のオーケストレーション

CDPを活用することで、マーケティング施策や営業活動のオーケストレーション(連携・統制)を効果的に行うことができます。例えば、顧客が特定のウェブページを訪問した場合、その行動に基づいて自動的に次のアクション(フォローメールの送信や特定のコンテンツ提案)を設定できます。
BtoB企業の場合、顧客の購買プロセスは長期にわたることが多いため、各ステージにおける最適なタイミングで適切な情報提供やフォローアップを行うことが成功の鍵となります。CDPはこのプロセスを自動化し、一貫した顧客体験を提供するサポートをします。
上記をまとめるとCDPは以下の機能を具備することで顧客体験のプラットフォームの中核になるといえるでしょう。

顧客体験創出でのCDPの役割

CDP、CRM、DAMの違い

CDP、CRM、DAMの違い

3.1 CDPの特徴

CDPは、様々なソースから顧客データを集約し、顧客の全体像を把握するためのプラットフォームです。マーケティングや営業、カスタマーサポートの領域を超えて、全社的なデータ活用を可能にします。BtoB企業では、特に営業チームとマーケティングチームの連携を強化し、顧客に対する統一されたアプローチを実現するために効果的です。

3.2 CRMの特徴

CRM(Customer Relationship Management)は、顧客との関係を管理するシステムです。主に営業プロセスを管理し、顧客情報、商談状況、契約内容などを一元管理します。CRMは顧客との接点を管理し、営業担当者が効率的に業務を進めるためのツールとして役立ちますが、データ統合やパーソナライズされたマーケティング施策には限界があります。

3.3 DAMの特徴

DAM(Digital Asset Management)は、デジタル資産、特にマーケティングや広告に使用するコンテンツ(画像、動画、ドキュメントなど)を管理するシステムです。BtoB企業においては、製品カタログ、ホワイトペーパー、事例紹介などのコンテンツを整理し、適切なターゲットに提供するために利用されます。

3.4 選択のポイント

CDP、CRM、DAMはそれぞれ異なる目的を持つツールですが、連携させることで相乗効果が生まれます。CDPは顧客データの統合管理、CRMは営業活動の効率化、DAMはコンテンツの管理に特化しており、企業の戦略や目的に応じて適切なツールを選択する必要があります。
BtoB企業では、特に営業・マーケティングの連携が重要なため、CDPとCRMの組み合わせが有効です。

CDPの活用事例

CDPの活用事例

BtoB企業において、CDPは様々な形で活用されています。
例えば、ある製造業の企業では、CDPを導入することで、ウェブサイトでの行動データと営業部門での商談データを統合し、より的確なリードスコアリングを実現しました。これにより、営業チームは高い関心を持つ顧客に優先的にアプローチすることができ、成約率が向上しています。
また、IT企業では、CDPを通じてイベント参加者の行動データを分析し、イベント後のフォローアップを自動化しました。これにより、営業担当者が迅速かつ適切なタイミングで顧客にアプローチできるようになり、商談の進展がスムーズになっています。

導入のメリットとデメリット

導入のメリットとデメリット

5.1 メリット

  1. データの統合管理: CDPは顧客データを一元的に管理することで、全社的なデータ活用を可能にし、営業・マーケティングの連携を強化します。
  2. 顧客体験の向上: パーソナライズされたアプローチが可能になり、顧客体験を改善します。特にBtoB企業においては、複雑な購買プロセスにおける適切なフォローアップが成約率の向上に寄与します。
  3. マーケティング自動化: 顧客行動に基づくリアルタイムな施策実行が可能になり、マーケティングの効率が向上します。

5.2 デメリット

  1. 初期コストと導入負担: CDPの導入にはシステム構築やデータ統合のためのコストと時間がかかるため、中長期的なROI(投資対効果)を見据えた計画が必要です。
  2. 運用の複雑化: データが増加することで、運用や分析が複雑になる可能性があります。また、適切な運用体制や人材が不足している場合、効果的な活用が難しくなります。

結論

結論

BtoB企業においてCDPは、複雑な顧客データの統合管理とパーソナライズされた顧客体験の提供に寄与します。CRMやDAMとの連携を通じて、営業・マーケティング活動を高度化し、成約率の向上や顧客満足度の向上に大きく貢献することが期待されます。ただし、導入コストや運用面での課題を十分に考慮した上で、戦略的な導入を行うことが重要です。
戦略的な導入検討については、以下の過去ブログ「マーケティングのデジタル化構想の勘所」を参照頂くと良いかと思います。
https://www.dx-digital-business-sherpa.jp/blog/key-points-for-formulating-a-marketing

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