ローコードとは?
注目される背景や導入のポイントを解説

 2024.09.19  デジタルビジネスシェルパ

近年、加速する市場変化への適応性が多くの企業に求められています。開発期間の短縮を実現するには、最小限のソースコードのみを記述するローコード開発が有効です。本記事では、ローコード開発の概要とノーコードとの違い、メリット・デメリット、プラットフォーム選びのポイントについて分かりやすく解説します。

ローコードとは?注目される背景や導入のポイントを解説

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ローコードとは?

ローコードとは?

ローコードとは、ソースコードを記述する作業(コーディング)を極限まで減らし、アプリケーションを開発する手法です。

ローコードを用いたソフトウェア開発は、コーディングの高度な知識や経験を必要としません。開発者はドラッグアンドドロップをはじめとしたマウス操作、視覚的なインターフェースを活用した直感的な方法でアプリケーションを開発することが可能です。

ローコード開発プラットフォームでは、従来型の開発手法の多くの工程を削減したり、自動化したりすることができ、開発コストを大幅に削減することが可能です。必要に応じてプログラマーがコーディングを行うことによって広範囲な業務領域に対応でき、後述するノーコード開発に比べるとカスタマイズ自由度が高いという特長があります。

ローコード開発は、経験豊富なエンジニアでも、生産性向上を目的として活用するケースがあります。エンジニアがはじめからコーディングを行う従来の開発手法と比較して、開発にかかる時間や労力、開発難易度を大きく低減できるのがローコード開発の魅力です。IT人材不足が叫ばれている近年、ローコード開発は幅広い分野で注目を集めるようになりました。ローコード開発は、その特長に由来して、超高速開発と呼ばれることもあります。

関連記事:ローコード開発とは?導入が進む理由とツール選定ポイント|OutSystems|伊藤忠テクノソリューションズ

どのような業界・業種で活用されている?

一定の柔軟性があるローコード開発は、金融・製造・住宅・農業など幅広い分野で活用されています。

金融業界における例では、ある地方銀行が社内のIT開発力を強化するため、ローコード開発プラットフォームの採用に踏み切っています。これまで外部へ依存していたシステム開発の内製化を目指し、開発の難易度や工数を削減できるローコード開発を導入した結果、ブラックボックス化していた既存システムをアジャイル開発でリプレースすることも実現させました。また、カードローン関係の申し込みを管理するアプリケーションを新たに開発するなど、社内にローコード開発の経験値を着実に蓄積していける環境づくりを成功させています。

自動車産業においても、ローコード開発は拡大傾向にあります。近年、デジタル活用は自動車業界の大きなテーマとされており、大手自動車グループの例では、レガシーシステムのモダナイゼーションや開発人材の高齢化対策として、ローコード開発プラットフォームを導入しました。その結果、約30%の開発工数削減に成功し、生産性アップを実現させています。ローコードを採用したアプリケーション開発体制の構築に成功した同社では、共通部品の作成や標準ルールの策定、人材育成などを担う組織を立ち上げ、ローコード開発の全社展開を加速させています。

参照元:OutSystemsを採用した株式会社広島銀行 様の事例 | CTC - 伊藤忠テクノソリューションズ

参照元:OutSystemsを採用したトヨタ自動車株式会社 様 株式会社トヨタシステムズ 様の事例 | CTC - 伊藤忠テクノソリューションズ

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ローコードとノーコードの違い

ローコードとノーコードの違い

ローコードとノーコードが大きく異なる点は、コーディングの必要性をどこまで減らせるかという部分にあります。

ローコード開発では、ある程度のソースコード記述が必要です。コーディングによって細かな機能が組み込めるため、業界や企業特有の複雑な要件にも対応できる柔軟性があります。そのため、複数の部門を横断する業務のデジタル化に適した手法とされています。

一方、ノーコード開発では、ほとんどソースコードを用いることなく開発するのが特長です。基本的な開発方法はローコードと類似しており、開発プラットフォーム上に用意されたテンプレートやパーツを組み合わせて開発するため、ローコード以上に開発のハードルは低くなります。そのため、IT部門の負担を最低限に抑え、現場主導でアプリケーション開発を行いたい時に最適な手法です。ただし、ノーコードの場合、開発プラットフォームが提供する範囲内でしかアプリケーションを開発できません。ノーコード開発は、大幅に開発の手間を減らせる反面、細かな要求には対応しにくいという制約があります。

ローコードが注目される背景

ローコードが注目される背景

近年、幅広い業界でローコード開発の導入が進められている背景には、日本社会が抱える多様な問題があります。

DXの推進

DXとは、AIやIoT、クラウドサービスといった最新のデジタル技術を活用し、製品やサービス、業務プロセス、あるいはビジネスモデルそのものを変革することです。少子高齢化による労働力の減少や国際的な経済競争の激化など、急速に変化する社会環境やビジネス要件へ迅速かつ柔軟に対応するために、デジタル技術の活用は欠かせません。

DXの推進が望ましいとされる一方で、その担い手であるIT人材の数は社会全体で不足傾向にあります。投入できるIT人材のリソースが限られるなか、デジタル技術を活用してDXを推進するためには、企業のIT部門は自身の負担を軽減しながら、アプリケーション開発、システム開発を行わなければなりません。多くの工程を省略・自動化できるローコード開発であれば、IT部門は限られた人材を十分に活用したうえで、DXを推進することが可能です。

変化する市場への適応性

インターネットやSNSの普及に伴い、現代の市場は消費者のニーズや市場のトレンドが急速に変化しています。こうした市場の変化に対応するには、企業側もビジネスのスピードを加速しなければなりません。アジャイル開発やシステムの内製化が注目を集めているのも、市場情勢を反映させた柔軟で迅速な開発が強く求められるようになった表れだと考えられています。

あらかじめツール上で多くの部品が提供されていることもあり、必要最低限のコーディングで開発できるローコードを用いれば、開発工数を大幅に削減でき、短期間での開発が可能です。また、ローコード開発は変化するビジネスニーズにあわせ、柔軟に対応できるのも大きな強みです。

ローコードのメリットは開発スピードの向上

ローコードのメリットは開発スピードの向上

開発期間の短縮は、開発コストの削減に直結する要素です。ローコード開発の場合、少人数かつ短期間でプロジェクトを完了できます。そのため、開発にかかる期間や工数が減った分だけ人件費を削減できます。これによって、ITコストやIT人材といった貴重なリソースを効率的に活用できるのも、企業にとっては大きなメリットです。

一方で、ローコード開発には複数のデメリットも存在します。手軽に開発できる反面、そのカスタマイズ性には制限があります。ノーコードと比べて柔軟にカスタマイズできるとは言っても、はじめからコーディングした場合ほどの柔軟性は求められません。また、ローコード開発では一定のコーディングを必要とします。

特に、開発プラットフォームで対応していない操作や機能がある場合、それらを実現するために追加の工夫やコーディングの作業が必要になることも想定しておきましょう。そのため、ローコード開発に取り組む際は、どの開発プラットフォームを選ぶかが非常に重要です。

ローコード導入のポイントはプラットフォーム選びにある

ローコード導入のポイントはプラットフォーム選びにある

自社に最適なローコード開発プラットフォームを選ぶために、以下のポイントを押さえておきましょう。

自社の導入目的に合っている

ローコード開発プラットフォームごとに提供される機能には差異があります。そのため、自社が必要とする業務アプリケーションやシステムが作成できるかどうかを見極めることも大切です。

例えば、タスク管理、給与計算、顧客管理システム、売上管理システムなど、作成したいアプリケーションやシステムの種類に応じて、適切なプラットフォームを選定する必要があります。さらに、クラウド型とオンプレミス型のどちらが自社に適しているかも慎重に判断しなければなりません。

導入目的が曖昧なままプラットフォームを導入してしまうと、思うように効率化が進まないなど、ローコード開発のメリットを十分に活かしきれない可能性があります。

拡張性がある

開発後に機能変更が必要になることはよくあります。そのため、システムには十分な拡張性を持たせておくことが重要です。また、自社で使用している既存のツールやシステムと連携できるかどうかは必ず確認するようにしましょう。データ連携が可能なサービスを導入すれば、既存の業務システムとも統合しやすいため、アプリケーション開発の幅が広がります。

モバイル端末との互換性もチェックするようにしましょう。近年では、リモートワークの普及に伴い、業務にスマートフォンやタブレットを活用する機会が増えました。そのため、モバイル端末でのユーザビリティを意識したアプリ開発が行えるかどうかも重要なポイントです。

サポートが受けられる

開発後、何らかのトラブルに遭遇する可能性もあります。サポートの有無に加え、かかる費用や内容、提供方法なども事前に確認しておきましょう。

例えば、無料サポートがあるかどうか、有料であればその費用、導入から運用まで全ての範囲がサポートの範囲に含まれているかどうかを忘れずに確認することが大切です。サポートの提供方法には、電話やメール、チャットのほか、現場に直接来てもらうなど多様な形態があります。自社にローコード開発のノウハウが不足している場合には、開発トレーニングのサポートが受けられるプラットフォームを選択するのも有効な手段です。

なお、ユーザーコミュニティが活発なプラットフォームでは、ユーザー同士の情報交換が頻繁に行われているのが特長です。そのため、操作方法やトラブルシューティングに関する貴重な情報をスムーズに得られるなどのメリットがあります。コミュニティサイトやフォーラムの充実度、質問に対する回答のスピードと質をあらかじめリサーチすることで、安心してプラットフォームを活用できます。

セキュリティ対策が万全である

特にクラウドサービスを利用する場合、サイバー攻撃やデータ漏洩のリスクに対する十分な防御策が必要です。ユーザー認証、アクセス制限、ログ管理といった基本的なセキュリティ機能の搭載を確認した上で、プラットフォームのセキュリティポリシーや過去の脆弱性対策情報をチェックし、それらが自社の基準を満たしているか精査するようにしましょう。

大手企業では、ISO/IEC 27001などの国際規格に準拠した信頼性の高いプラットフォームが多く活用されています。ただし、開発プラットフォームのセキュリティがいくら強固であっても、自社側に問題があればトラブルを防止できません。そのため、開発プラットフォームのセキュリティ機能を確認するだけでなく、安全に導入・運用できるよう、自社のセキュリティ体制も改めて見直すようにしましょう。

使い勝手やサポート体制も問題ないか

例え優れた機能を備えていても、使い勝手が悪いプラットフォームはスムーズに運用できません。直感的に操作できるプラットフォームであれば、学習コストの削減につながる重要な要素です。また、操作性の高いプラットフォームを選定したとしても、導入してからしばらくの間はサポートに頼る場面が多くなることも想定しておきましょう。

ローコード開発プラットフォームの一つであるOutSystemsでは、ローコード開発に必要なスキルや知識が得られるワークショップやトレーニングサービスなどを提供しています。エキスパートによる開発標準策定支援・システム開発支援・システム運用支援・QA対応など、多様なサポートサービスを活用できるのもポイントです。使いやすさやトラブル発生時のサポートなどを総合的に考慮して、プラットフォーム選択すれば、ローコード開発の導入を成功に導けるはずです。

まとめ

まとめ

ローコード開発は、最小限のコーディングで迅速なシステム開発を可能にする手法として注目が高まっています。DXの推進に対する組織の取り組みや、変化する市場への素早い対応は、企業が市場で勝ち残るために欠かせない要素の一つです。自社に適したプラットフォームを選ぶ際は、導入目的や拡張性、セキュリティ対策、操作性、サポート体制を総合的に評価して選定するようにしましょう。自社にとって最適なプラットフォームを導入すれば、ローコード開発の導入・運用効果を最大化できるはずです。

ソースコードの記述を必要としないローコード開発プラットフォームOutSystemsでは、アイコンで可視化したビジュアル言語を用いるため、素早いアプリケーション開発を実現します。データベーステーブルの作成も1クリックの操作で効率よく作成できるため、保守運用も効率的に実行できます。システム開発の次世代化を目指し、サポート体制のパートナーをお探しの企業担当者様は、ぜひOutSystemsの導入を検討してみてください。

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