AI-OCRは、従来型のOCRの特長を含め、AI技術を取り入れたことにより性能が向上しました。例えば、フリーピッチの手書き文字も読み取れるほど、精度が向上しています。
AI‐OCRの登場により、書類や帳票類の電子化が多くの企業で大幅に進み、電子帳簿保存法対応を行うために利用しているケースなど、導入成功例も続出しています。
AI OCRの仕組み、機能、従来のOCRとの違いやビジネス上のメリット、おすすめツール製品について、まとめてお伝えします。
AI OCR(高精度文字認識ツール)とは?
AI OCRとは、AI技術を利用した、高精度の文字認識ツールのことです。OCRは、Optical Character Readerの略称で、画像のテキスト部分を文字データに変換することができます。紙文書をスキャナーで読み込み、画像化し、書かれている文字をデジタル化します。
このOCR技術にAIを取り入れたのが、AI OCRです。AIによりフリーピッチの手書き文字なども認識しやすくなっています。
「AI OCR」は従来の「OCR」よりも読み取り精度が高い
従来型の「OCR」と「AI OCR」では、主に3つの違いがあります。以下の表のとおりです。
AI OCR |
OCR |
|
文字認識の精度 |
高 |
低 |
認識精度の変化 |
学習により向上 |
設定を変更しないと不変 |
非定型のフォーマットへの対応 |
可能 |
不可 |
まず、文字認識の精度ですが、AI OCRではデータに基づいた深層学習機能が利用できるため、枠のない状態でフリーピッチの手書き文字が読めるようになり、精度が上がっています。
従来のOCRでは、フリーピッチに対応できません。精度にはツール間で差がありますが、従来型の認識率からすると、20~30%は上がっています。
AI OCRは利用し続けると学習が進むことから、さらに認識精度が向上します。従来のOCRでは設定を変更しないと認識精度は変わりません。また、非定型のフォーマットに記載された文字の読み取りも、従来型のOCRでは難しいですが、AI-OCRツールなら基本的に対応可能です。
AI OCRを導入する3つのメリット
AI OCRを導入することで、ビジネスには次のようなメリットがもたらされます。導入することで業務負担の軽減を見込めるでしょう。
1. 処理対応時間の削減
文字認識の精度が信頼できるため、従来と比べると確認や転記・修正作業などの処理対応時間の短縮を見込めるでしょう。
2. 誤字・脱字・入力ミスなどの軽減
人の手で転記を行うと誤字・脱字・入力ミスなどの人為ミスはどうしても発生するでしょう。しかし、文書のアナログ処理ではなく、しかも読み取り段階の精度が向上しているので、ミスを防ぐ効果が生じます。
3.デジタル化による管理スペースの削減
AI OCRは効率よく紙の電子化・文字情報のデジタルデータ化を進められます。
電子した紙として保管するほか、スキャンした後のRPAによる処理などにも向いているので、ストレージやDBにデータの格納が可能です。
結果として、紙の倉庫などの管理スペースを減らすことができ、月間の固定費を削減する効果が生じます。また、電子帳簿保存法への対応も行うことができます。
【比較】おすすめAI-OCRツール7選
ここからは、AI OCRのおすすめツールを紹介します(2021年12月時点の情報)。実際にどんなツールがあるのか、参考にしてはいかがでしょうか。
1.DX Suite
製品の概要
文字認識だけでなく、業務効率化を推進するためのアプリケーションが実装されているなど、誰でも使いやすいUIが特徴的なAI-OCRです。
機能のポイント
高精度読み取り、手書き読み取りの機能は他製品と比べても良好との評判です。
傾きのある読み取りデータを自動補正するなどの小技が利いており、使い勝手にも優れています。
価格
月額30,000円~(6000 ドキュメント・従量制)、初期費用は0から。
2.AIスキャンロボ
製品の概要
帳票類ならこのAI-OCR、軸が一定しない文書の読み取りが早くて正確と評判です。
機能のポイント
非定型のフォーマットへの読み取りを強化。書式が一定しない・小さい帳票類の読み取りに強く、自動補正もピンポイントで行える点が特徴です。DBや経理ソフトとの連携にも強みがあります。
価格
月額30,000円~
3.スマートOCR
製品の概要
作業効率を高める機能に特徴あり。オンプレでもクラウドでも導入でき、複数ユーザーでの共同作業も可能なAI OCRです。
機能のポイント
文字のチェックが行いやすい信憑性判定・必要なところだけデータ化できる効率性や、RPAとの連携が可能です。
価格
3ユーザー、300枚まで月額30,000円~(クラウドタイプ)
4.FlexiCapture
製品の概要
どのソースの紙データも、データ化できて、文書の種類も自動分類する、文字通りのフレキシビリティに強みがあるAI-OCRツールです。
機能のポイント
請求書や発注書、添付書類、通信文などの種類の違う文書をすべて正
確に認識して分類する機能がポイントです。
価格
お問い合わせください。
お問い合わせ先:https://www.abbyy.com/ja/flexicapture/
5.CaptureBrain
製品の概要
高い文字認識力を備えた高機能AI-OCRを中心とした充実のサービスラインナップで、文書管理のトータルソリューションを提供しています。
機能のポイント
高性能手書きエンジン・仕分け機能を用いて、帳票・文書高速読み取りと仕分けができます。グループウェアkintoneとの連携が可能、さらに業務効率の向上を図れるでしょう。
価格
月額30,000円~
6.DEEP READ
製品の概要
ディープラーニングを活用して、形にばらつきのある手書き文字をデータ化するAI-OCRサービスです。金融業界をはじめとした企業や医療機関、学校法人など幅広い業種で活用されています。
機能のポイント
文字認識率90%以上の精度でデジタル化を実現。自動でテンプレートを振り分ける機能も標準搭載している他、RPA連携、BOX連携、API連携などにも対応しています。ニーズに合わせてクラウド型・オンプレミス型の洗濯も可能です。
価格
お問い合わせください。
お問い合わせ先:https://www.ctc-g.co.jp/solutions/deepread/
7.CTC Document DX
製品の概要
ツールを利用するのにとどまらず、ソリューションとしてAI-OCRを導入したい場合・ゆくゆく文書・データ管理をソリューションで一気通貫に解決したい会社におすすめです。
機能のポイント
RPAとAI(人工知能)により高速で書類を電子化できます。さらに、他サービスが提供するAPIにより、クラウド型ストレージサービス、ワークフローシステム、CRM、BI、基幹系システムなどとの連携にも対応しています。
価格
お問い合わせください。
お問い合わせ先:https://www.ctc-g.co.jp/solutions/ctc_document_dx/
AI OCRは100%の文字認識率ではない
AI-OCRは、100%の文字認識率ではないため、どうしてもチェック・修正などの作業を行うことが避けられないことは留意しておきましょう。導入に際しては、チェックや修正のための工程についても検討したうえで導入すべきだといえます。
紙データのボリュームが多い場合で、大幅に時間削減・効率化する効果を確実に目指す場合は、チェックや修正のためのアウトソーシングなどとの組み合わせや、入力時にはRPAで自動化することを検討するのがおすすめです。
また、紙データをどこに格納するのか合わせて検討すると、業務効率化やコストの見通しが具体化しぶれがなくなります。
AI-OCRは、スキャンから基幹システムなどへのデータ入力まで、可能な限りの自動化を進めるのであれば、必要不可欠な前提条件となるツールです。
そのため、効率化の効果をトータルで見ると、チェック・修正の工程などはカバーできるのはもちろん、それ以上の業務効率化・工数削減による人件費の節約効果をもたらすことができることを踏まえて導入検討しておきましょう。
まとめ
AI-OCRは従来型のOCRと比べて、文字認識の精度が高いので、フリーピッチ帳票や非定型のフォーマットなども読み取れて、業務効率化の効果が高いツールです。
文書の自動仕分けができる機能を使い、RPAと組み合わせるなどの工夫で、データをアプリケーションに自動入力するところまでの一連の業務を自動化できる可能性もあります。
そのため、AI-OCRは、リモートワークのための書類の電子化のための利用だけでなく、データ活用まで見据えてツール導入・関連サービスやソリューション導入を進めることができると、より価値あるツールとして活用できるといえるでしょう。
- カテゴリ:
- デジタルワークプレイス