クラウドデータベースのメリットとは?導入のために必要な知識を解説

 2022.01.14  2024.01.17

クラウドファーストを推進しつつ、セキュリティの観点からデータベースのクラウド移行を躊躇う企業が少なくありません。しかし、時代はクラウドネイティブへと進んでおり、企業が競争優位性を確立するためには、クラウドの活用が不可欠です。

そこで本記事では、データベースをクラウド環境で運用するメリットについて詳しく解説します。

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クラウドデータベースとは?

「クラウドデータベース」とは、組織内のあらゆるファイルやデータの管理基盤となるデータベースを、パブリック環境で利用できるクラウドサービスです。

オンプレミス型のデータベースは、サーバーやネットワーク機器を導入し、「DBMS(DataBase Management System)」と呼ばれるデータベース管理システムを用いて構築されます。DBMSには、データの保存形式に応じて「リレーショナル型」「階層型」「ネットワーク型」「NoSQL」など、いくつかの種類が存在します。

これらの種類によってデータベースの作り方が異なり、それぞれメリット・デメリットがあるものの、コンピューター上で利用するデータを集約・整理し、保管・共有する基盤となることが共通の役割です。このように、組織のデータを集約・整理・保管・共有する基地のような役割を果たすことから、「Data Base(情報の基地)」と呼ばれています。

そして、サーバーやネットワーク機器、DBMSなどを導入することなく、パブリッククラウド上でデータベースを運用する形態がクラウドデータベースです。

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クラウドデータベースを使用するメリット

クラウド環境でデータベースを運用する主なメリットは、以下の3つです。

  • 低コスト・短期間で導入が可能
  • セキュリティ管理が簡単
  • データ容量を柔軟に変更できる

低コスト・短期間で導入が可能

オンプレミス型のデータベースはアドオン開発が可能なため、カスタマイズ性に優れ、独自の機能要件を満たせる点が大きなメリットといえます。しかし、システムの設計・開発に相応の費用と時間を要し、リリース後も継続的な保守・運用管理が必要です。

クラウド型のデータベースは、システムの構築に物理的なITインフラやDBMSを必要としません。そのため、オンプレミス型と比較した場合、ハードウェアの導入費用が不要になるだけでなく、システム管理部門の保守・運用管理における業務負担の軽減や、人件費の削減に貢献するというメリットがあります。

セキュリティ管理が簡単

クラウドサービスは、オンプレミス型のように独自のセキュリティ要件を定義できないため、安全性や堅牢性の観点から敬遠する企業が少なくありませんでした。しかし、クラウド市場の拡大とともにサービス品質も向上しており、「AWS」や「Azure」のように国際標準である「ISO規格」のセキュリティ認証を得たクラウドサービスも少なくありません。セキュリティパッチの更新や脆弱性診断などのセキュリティ対策を自社で実施する必要がないため、空いたリソースをコア業務へ注力できます。

データ容量を柔軟に変更できる

クラウドサービスの大きなメリットのひとつが、スケーラビリティの柔軟さです。オンプレミスでデータベースの容量を拡張するためには、ハードウェアの増設が必要であり、システムの再設計に相応の費用と期間を要します。一方、クラウドサービスは容量の拡張や機能の追加に物理的なITインフラを増設する必要がなく、事業規模に応じてシステム環境を柔軟に変更可能です。

また、アプリケーションの量やデータの件数に応じた料金設定になっているサービスも多く、事業形態や予算に応じて無駄なく運用できるというメリットもあります。

企業がクラウドデータベースを導入する時のチェック項目

クラウド型のデータベースはオンプレミス型と異なり、ITインフラの構築や自社での設計・開発が不要なため、システムの導入費用や管理コストを抑えられる点が大きなメリットです。また、容量の拡張も容易で、サービスによっては容量無制限プランもあるため、費用が安く済むだけでなく、自社の事業形態や組織体制に適したシステム環境を構築できます。

しかし、クラウドデータベースもメリットばかりではありません。導入や移行を検討している企業は、以下の点をチェックする必要があります。

  • 既存のシステムとの連携性
  • コストモデルの適正性
  • 自社でのセキュリティ対策

既存のシステムと連携はできるか?

クラウドサービスは基本的にアドオン開発が行えないため、オンプレミス型と比較してカスタマイズ性で大きく劣ります。そのため、新たに導入するクラウドデータベースが、既存システムと連携できない可能性があります。クラウドデータベースはクラウド事業者が提供するリソースへの依存度が高く、連携できるシステムにも制限があるので、事前に自社の要件を満たせるかどうか確認しなくてはなりません。

コストモデルは適正か?

クラウドサービスは、サービス事業者によって課金体系や支払い方法が異なります。利用するクラウドサービスによりますが、基本的にはデータ記憶容量や通信容量による課金、もしくは1ヶ月単位の使用時間によって料金が決定されるモデルが一般的です。使用量ベースか時間ベースかによって料金が大幅に変動するため、自社のビジネスモデルを考慮し、適切なコストモデルを選択しなくてはなりません。

自社セキュリティは万全か?

データベースには従業員の個人情報や顧客情報など、決して流出してはならないデータやファイルが保管されています。セキュリティインシデントは企業の信用失墜を招き、損害賠償問題や行政指導による業務停止といった損害につながりかねません。AWSやAzureのように国際的なセキュリティ認証を得ているサービスであっても、アクセス権限や職務分掌規定の設定、ファイルの暗号化といった自社での対策も必要です。

代表的なクラウドデータベース

ここからは、クラウド型のデータベースとして世界的に高いシェアを誇る主要サービスを4つご紹介します。それぞれの特性や違いを比較し、自社に適したサービスを選定してください。

AWS(Amazon Web Services)

クラウド環境でデータベースを運用する方法のひとつが、Amazonが提供するAWS上に構築する手法です。AWSは、複数のソリューションによって構成されるIaaS・PaaS型のクラウドサービスで、データベース移行ソリューションの「AWS DMS(Database Migration Service)」を活用することで、AWS上にデータベースを構築できます。

また、厳密にはデータベースとは異なりますが、データウェアハウス「Amazon Redshift」やNoSQLデータベース「Amazon DynamoDB」などを利用するのも、有効な手法のひとつです。

Azure(Microsoft Azure)

Azureは、Microsoftが提供するIaaS・PaaS型クラウドサービスで、AWSに次ぐシェアを誇るソリューションです。AWSと同様に複数のソリューションによって構築されており、OSやストレージ、アプリケーション開発に必要なミドルウェアやランタイムなど、プラットフォーム一式をクラウド上で提供します。

最新のリレーショナルデータベース「Azure SQL Database」や、無料のオープンソースで提供されている「MySQL」をAzure上で稼働する「Azure Database for MySQL」などが、代表的なデータベースサービスとして挙げられます。

Google Cloud SQL

「Google Cloud SQL」は、Google提供のIaaS・PaaS型クラウドサービス「Google Cloud」に内包されるクラウドデータベースです。リレーショナル型のデータベースサービスで、汎用性の高いPostgreSQLとMySQLに対応しています。

Google Cloud SQLはフルマネージドで提供されるため、インフラ部分の管理やサーバー障害時の対応といった作業負担は一切ありません。また、従量課金制となっているため、インスタンスに応じた時間単価やストレージ利用の秒単価などを組み合わせ、ニーズに応じたコストモデルを設定できます。

OCI(Oracle Cloud Infrastructure)

Oracleはデータベース管理システムの分野でトップシェアを誇るリーディングカンパニーであり、世界中の企業が同社の「Oracle Database」を自社のデータベースに採用しています。

「OCI」は、そんなOracleが提供するIaaS・PaaS型のクラウドサービス「Oracle Cloud」に搭載されているストレージサービスで、経営データを統合的に管理する情報共有基盤をクラウド上に構築できます。また、現在オンプレミス環境で運用しているOracle DatabaseをOracle Cloud上に移行することも可能です。

まとめ

データベースとは、企業のあらゆるデータが蓄積された情報群であり、経営戦略の立案・策定や経営データの分析・可視化に不可欠なシステムです。データベースをクラウド環境に移行することで、導入費用や管理コストの削減、システム管理部門の業務負担軽減、人的リソースの最適化など、さまざまなメリットを享受できます。クラウド活用を推進している企業は、ぜひ本記事を参考にしてデータベースのクラウド化に取り組んでみてください。

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