第一回 XR 総合展 秋(2021年)参加レポート

 2021.12.15  2024.11.11

2021年10月27日(水)~29日(金)の3日間、千葉県海浜幕張の幕張メッセで開催された「第一回XR総合展 秋」に参加してきました。

PlayStation VRの販売やポケモンGOが流行ったのが2016年。いわゆる「VR元年」から、もう5年が経ちました。5年前と今で大きく世の中が変わってきたかといわれるとそこまで変化はないように思えます。しかしXR関連のサービス・ソリューションまたそれに関するハードウェアやサポートサービスは非常に増え、関連事業者は大幅に増加していると思います。

xr-sogo

ここで改めてXR業界で使っている言葉に関しても再確認しておこうと思います。

VR=Virtual Reality(仮想現実)

CGで作った仮想現実の中に入り込む・没入する事が特徴です。一般的にはヘッドマウントディスプレイを使って、完全に没入感を高める体験をVRと指していると思います。

AR=Augmented Reality(拡張現実)

ポケモンGoに代表するスマホのカメラで映す現実世界の上にCGで作ったキャラクターや建物・家具などを重ねて表示し、あたかも現実世界にそのCGオブジェクトが配置されているかのように体験できます。

MR=Mixed Reality(複合現実)

上記VRとARと融合した物。スマートグラスなどで現実世界を見ながらAR的にCGのオブジェクトがそこにいるように見えたり、または現実世界と思っている部屋の空間自体がCGになっている事もあり、その境目がどこにあるかもわからないほどシームレスに現実世界と仮想世界を融合した体験が可能になります。

つい先日の2021年10月29日にFacebookの最高経営責任者のマークザッカーバーグが会社名を「meta」(メタ)に変更しました。

社名変更の理由は、SNS事業の一つのブランド名称にすぎない「facebook」では現在のFacebook社が提供する多くのサービスやアプリ全体を現しきれていなくまた将来の事業を体現するにもふさわしくない事から。新しい社名は、VRやMRといった技術で実現する次世代のプラットフォーム、また新しいインターネットそのものの姿である「メタバース」の構築に注力する事を示している。

またメタバース構築に向けて今後2年間で約55億円(5000万ドル)の投資をする事も発表しています。

XR業界全体に非常にポジティブなニュース・流れがあり、かなり盛り上がっているだろうと思い会場に入りました。

Digital Transformation Next ~シリコンバレー発DXレポート~(CTC DX Days 2021 chapter2 講演資料)

緊急事態宣言明けの大規模イベント

今回XR総合展の他に同期開催で、AI・人工知能 EXPO、ブロックチェーンEXPO、量子コンピューティングEXPO、AI・業務自動化展、在宅・リモートワーク支援EXPO、Web&デジタルマーケティングEXPO、システム運用自動化展、データセンター&ストレージEXPO、ソフトウェア&アプリ開発展、セールス自動化・CRM EXPO、次世代EC&店舗EXPO、クラウド業務改革EXPO、情報セキュリティEXPO、組込み/エッジコンピューティング展、IoT&5Gソリューション展と15展示会が同時開催されていました。

その為、海浜幕張駅と幕張メッセの入り口は大混雑していました。
コロナ禍でも実際にこれほど多くの人が、何かしら現状業務の改善や、新しい発見を探しているんだなーと思うと本当に日本のIT化はまだまだここからだなーと実感しました。

XR総合展で気になった企業・ソリューションを紹介していきます。

MRシステム「MREAL」@キャノンITソリューションズ株式会社 

https://www.canon-its.co.jp/news/detail/?id=9366

まさにMRといったサービスです。キャノンの光学技術と映像技術を集結し、仮想のCGと現実空間とを違和感なく融合した、自由な視点から体験できる映像技術です。

mreal-system

実際に体験した映像も良かったですが、一番印象に残ったのは、小型軽量のヘッドマウントディスプレイです。キャノンは過去からヘッドマウントディスプレイは開発していたそうですが、今回のはEntryモデルとして約338gの物を販売しているそうです。

ちなみにヘッドマウントディスプレイで一番有名な所ではHTC VIVE Pro2だと思いますがこちらの重量はというと公式には非公開になっています。HP等調べても重量がわからないです。

こんな事あります・・・?

装着した時の重さは明らかに違うので、ちゃんとした数値で比較したかったので非公開ですが色々調べて以下の数値が出てきました。855g(1.9ポンド)。約2.5倍の重さでした。

国産でここまで軽量化できたのを体験すると、もっとなりそうと非常に期待が持てたポジティブな気持ちで体験できました。

顧客体験価値向上DX「ストリーミングエンジンによる
CTC Omniverse デジタルツイン構築サービス

バーチャルイベント・展示会関連ソリューション

次に、コロナの影響でオリンピックを代表に大規模なイベントや集客はしばらく出来ていなかったですよね。ようやくここにきてワクチンの効果もあり感染者数は減っているのでこれからイベントやエンターテインメントも以前のように戻るかもしれないですが、それでもなお、バーチャルイベントやバーチャル展示会は今後増えてくるなと実感しました。沢山のソリューションと、デジタルだからこそアナログよりも高い効果が得られる部分があるので、今後この領域でもDX化していくんだなと。

バーチャル展示会プラットフォームVRmillion @KACOMS

https://www.kacoms.co.jp/solution/visual/vr_exhibition/

このサービスは、難しい設定不要で、WEBブラウザのみで利用が可能になります。最短5分でバーチャル展示会のブースを設営完了できてしまうそうで、管理・設定画面から実施の会場画面への反映もボタン一つで出来てしまいます。

またアナログの展示会の際に営業プロセスとして必要な事を複数の機能をあらかじめ用意できています。Web会議、動画ライブ配信&録画配信、アバター表示、資料ダウンロード機能、アンケート集計、チャット機能、行動ログ収集と解析など。

個人的にこういうXR系ソリューションとチャットツールとの相性は非常にいいと思っていて、今後値チャットがいかに使いやすいか?問い合わせを未然に防げるか?みたいな所が差別化要素になるかなと思っています。

また、クリエイティブ重視の展示会という事で3DCG空間をオリジナルで制作する事も可能のようです。3DCGではアナログでは絶対実現できないような大空間を使ったり、建築として成り立たないほどの独創的な建造物も作れてしまうので、イベントを差別化しやすいと思います。

Photron @株式会社フォトロン

https://www.photron-digix.jp/product/photron_x_xr/casestudy/202108_2.html

このURLは実際に2020年12月19日にさいたまスーパーアリーナで開催されたGLAYの有観客ライブをライブ配信した際にAR演出をしたものになります。

XR総合展では、VR空間を実際のカメラで映す事で、カメラワークを実際のカメラマンの技術に依存させて、イベント・ライブを盛り上げられるようなデモをしていました。

先日BTSが世界197の国と地域で同時にオンラインコンサートを配信していましたが、世界的にこういったイベントは増えると思いますし、その際にPhotronの様な技術が採用されていく事になると思います。また昨今人気の高まっているesportsでも同様にライブ配信とリアルタイムのグラフィック処理そして演出というのはニーズが高まっていくと思います。

また同社はソリューションの提供だけでなく、企画から当日のオペレーションまでワンストップでサポートできるようなので、オンラインイベントの開催検討時には相談してみてはどうでしょうか?

教育系(現場教育・現場支援)ツール

ATHEER @クリークアンドリバー/伊藤忠テクノソリューションズ

https://www.ctc-g.co.jp/solutions/atheer/

smart-glass

このシステムは、いわゆるスマートグラス(VUZIX等)でMR体験をしながら、遠隔から現場作業を支援したり、OJTしたり出来るツールになります。

例えば、東京の本社に熟練技術者が1名いて、各地の支店の現地担当者が殆ど未経験の初心者だとしても、遠隔地から今現地担当者が見ている映像を確認しつつ、

もっと右側のこの部分を見てください。

さらにこの部品を操作してください。

と細かく視点を誘導しながら指導する事ができます。

あたかも熟練技術者が現地にいっているかのようにオペレーション出来るわけです。またAR/MR技術を使い、実際の映像でその操作対象の部品に赤丸をつけて、視覚的にはっきりと対象を明確にする事もできます。

この例は1対1の操作支援・教育のケースですが、同じことを数十人の集合研修という形で開催する事も可能です。ただし、実際に集合する事は不要で、スマートグラスを現地に送るだけでいいのです。

こういったツールが普及する事で、いわゆるパソコン作業中心のホワイトカラーだけでなく、現場でパソコンやITに縁遠かった人達もITの力で生産性向上・品質向上できるようになってくると思います。

まとめ

今回のXR展示会は参加者は多かったですが、もっと規模が大きくてもおかしくないのになと思いました。まだコロナの状況で出展をどうするか決めきれなかった事業者もいたんだと思います。同時開催の他のEXPOの方が盛り上がっている感じはしました。XRよりはAIや自動化というキーワードの方がユーザーには響いていたような感じはします。

XR業界も単体技術だけではなく、企画から運用までのトータルサポートだったり、AIと組み合わせてコンテンツ制作を楽にしたり、コンテンツの質を高めたりする研究も出てくると思います。またチャットツールとのシームレスな連携はこの数年で必ず出てくると思います。その際にもAI技術を使って通常のチャットよりもむしろ使いやすい物になってくるのではないでしょうか?

没入感を高めつつコミュニケーションがより深く効率よくできるようになれば、現実の利用シーンに広がっていく所を目にできると思います。

次回か次々回でコロナ影響がもっと少なった時にまたどれくらいXR業界が盛り上がっているか注視したいと思います。

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株式会社カトルセ 代表取締役 橋本健太郎
大手住設機器メーカーでのIT企画・開発担当から、住宅業界向けSaaS(3D/EC)の開発・運営経験
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