さまざまな業界で提唱されるDX。多くの企業で、DXを絡めた新規事業を推進する動きが活発化しています。CTCでも経験豊富なベテラン社員だけではなく、新進気鋭の若手社員が伴奏支援を通して、社会へのDX貢献に取り組んでいます。今回は、新規事業の創出や事業変革の支援、共創推進をリードする若手社員にフォーカスを当て、CTCで実力を発揮している3名に集まっていただきました。日々の業務を通して感じる強みや課題から、今後のDX推進に大切なものを語っていただきます。
登壇者プロフィール
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
エンタープライズ事業グループ エンタープライズビジネス企画室
デジタルビジネス推進第1部 DX・モデルシフト推進課
藤野 祐里佳(ふじの ゆりか)
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
エンタープライズ事業グループ ライフサイエンス本部
ライフサイエンス営業第2部 営業第6課
石川 綾子(いしかわ あやこ)
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
新事業創出・DX推進グループ DXビジネス推進事業部
Buildサービスチーム Build第2課
門屋町 咲穂(かどやまち さきほ)
若手社員が牽引するDX推進領域の新規事業とは?
―――皆さまはそれぞれの立場で、何らかの形でお客様の新たな事業の取り組みを支援している立場だと思います。皆さまの組織での役割と、その中でのあなたの役割(ミッション)について教えてください。
藤野さん
私は主に、複数のエンタープライズ企業のお客様に向けて、新規事業の創出を含むDX領域での課題探索や推進の支援を行っております。具体的に分かりやすいご支援の事例を出しますと、総合化学メーカー向けにDXの勉強会を行っています。お客様と一緒に課題の探索や施策案の創出をすることがミッションです。定期的にお客様のご要望をうかがって、DX勉強会といった形でCTCのソリューションや事例ベースで情報提供させていただき、課題の引き出しを行いました。
もうひとつの事例は、鉄道事業者の沿線活性化に関する支援です。週に2回ほど数時間かけてお客様とCTCのメンバーでアイディエーションを行ってきました。
門屋町さん
私も大きく2つの取り組みをしています。ひとつは、鉄道事業者と“人の行動を変える”というテーマでさまざまな活動をしています。昨今の鉄道事業は、感染症流行の影響もあって電車の利用者が減り、収益が下がっています。その課題を改善するために、イベントなどで意図的に人を集めるのではなく、気づいたら駅に寄り道していたというように、人の行動を無意識から変えられないかという切り口で事業を展開しています。人の行動を変える要素についてパネル分解をしたり、本から知見を得たりしながら、お客様と一緒に鉄道利用者の体験シナリオを考えたりしています。
もうひとつは、センサー系のデバイスなどを作っている会社で、サービスを訴求するための課題解決に取り組みました。
石川さん
私はアカウント営業という立場から、さまざまな企業様に課題解決のアイデアを提供しています。特に印象深いのは、DXの人材育成ワークショップを提供した件ですね。
業務を通して見えた、世代が離れているからこその“強み”
―――ご紹介いただいた業務の中で、特に印象深かったことはなんでしょうか。
藤野さん
鉄道事業者の沿線活性化で、私が出すアイデアがかなり独創的で面白いという評価を、他のパートナー企業の方からいただきました。私自身には自覚がなかったのですが、違った目線から違った意見が出せるというのが、若手ならではのいいところなのではないかと感じました。
門屋町さん
自覚がなかったというお話でしたが、DX・モデルシフト推進課に異動してから変わったこととか、そこから始めた新しい情報収集はありませんでしたか。
藤野さん
調査にかける時間が、今までより格段に増えましたね。もちろんお客様への情報提供のための調査ではあるのですが、その中で自分自身が「面白いな」と感じることが増えたように思います。自分自身でも面白いと感じられることが、その時には形にならなくても、アイデアを出す時にいい影響を与えているのかもしれません。
―――つづいて、門屋町さんはいかがでしょうか。
門屋町さん
私が参加しているチームの特色なのかもしれませんが、私とお客様で年代がかなり離れているんです。40~50代のマネジメント層の方とお話しすることが多いですね。そうすると、スマートフォンを当たり前に使う、テレビは見ないといった20代の感覚を活かした意見が、現場ではとても重宝されます。新規事業を推し進めるにあたって、役職など関係なくフラットな関係でサービスを作れるという経験はとても貴重だと感じています。
また、センサーなどを製造している会社とのお仕事では、日本らしさというのを強く実感した記憶があります。日本のモノづくりって昔から技術の高さが素晴らしいのですが、今は作った物をマスメディアで訴求すれば簡単に売れる時代ではありません。今のユーザーはマスメディアを利用しないことも多いですし、自分に適した物を買いたいと思いますから。
その時に重要なのが、モノづくりをコトづくりにすることだと思います。そこで、ユーザーの経験を考慮したサービスに焦点が当てられるよう、考え方の視点を変えていただくワークショップを開催しました。さまざまな事例を紹介したり、仮のペルソナを作ったりして、その人の課題を解決してみましょうという働きかけをすることで、お客様も比較的分かりやすく視点を切り替えることができたようです。実際にお客様から、「ユーザーのこういうお困りごとに、弊社のセンサーがこう使えるんですね」と言っていただきました。こういう時は、人を変えていけることは面白いなと強く感じます。
石川さん
私は先ほど例としてあげた、DXの人材育成ワークショップからお話しします。このワークショップは、業務課題の解決や、新しい取り組みのアイデアを出すことをゴールとして開催しました。そこで感じたことは、認識が目の前の業務に寄りがちということです。たとえば、AIを使えばなんでもできるんじゃないかと、AI技術を過信していたり。私たちからは当たり前だと思うことでも、お客様の中では当たり前じゃないということが多々あります。
そういう方に向けては視野を広げるような言葉をかけたり、AIとは何かといった基本的な部分から講義を提供しました。ワークショップが終わった後に、お相手の上司の方とお話しさせていただいたところ、ワークショップで出たアイデアがどうこうというよりも、「会社をよくしようと考えてくれた、その時間が有益だった」という言葉をいただきました。アイデアの中身よりも考える時間っていうところに価値を感じていただけたので、会社の風土を変えるようなお手伝いができてよかったと感じています。
また、日々の営業活動全般で共通して意識していることは、お客様の課題でしたり思いっていうのを自分ごと化して、お客様と同じ目線で意見を出し合える関係を築くことです。こういう姿勢が大事だというのを日々感じながら、営業活動を進めているところです。
新規事業の成功に対する、若手目線のリアルな意見
―――新規事業に関して、「10つのプロジェクトを立ち上げたとして、いくつ成功してほしいですか。」と問いがあったとします。皆さまなら、どうお答えしますか?
藤野さん
私は1~2つでしょうか。新規事業の立ち上げに関わっていると、それが簡単なものではないと実感することも多いです。ただ、失敗が多くてもそれが無駄だとは感じていません。失敗した原因を考えることが今後の私たちの知見になって、次に活かしていけると考えれば、成果につながらなかった事業もある意味“成功”になるのではないかと思います。
しかし、やはりビジネスの現場としては、成果を求められる一面はどうしようもないです。私自身は成功だと感じていても、あまりに失敗が多いと、上層部からは否定的に捉えられるかもしれません。だからこそ、“失敗してもどんどん挑戦してみよう”という雰囲気の組織になっていくと、よりいいのではないかと思います。
門屋町さん
私はすべてが成功だと考えます。何を“成功”と考えるかによりますが、学べること、進んでいることが重要だと思います。売上などの数字で測ってしまえば失敗になるかもしれなくても、そこから学べるもの、次に進むものがある限り成功だと私は捉えています。
そもそも、立ち上げた事業がすべて成功していたら、今頃どの企業も世界的な大企業のようになっていますよね。そういう大企業にも、失敗を繰り返した経験や倒産の危機があったわけです。そうやって長い時間をかけて醸成された成果が大きな発展を見せている中、1年2年の軸で“成功”か“失敗”を測ってしまうことこそ、事業の成功を一番阻害している要因なのではないでしょうか。
石川さん
私も、意見はお二人と同じです。私はいくつ成功してほしいかと聞かれたら、当然全部でしょうと考えます。もちろん失敗することはありますが、失敗を恐れて最初から諦めたら、そこで試合終了じゃないですか。まずは成功を前提として動くのではなく、とりあえず突き進んでみようというのが、私のこの問いに対する回答です。
次に活かせるのであれば、とても実のある失敗、そして限りなく成功に近い失敗といえるのではないでしょうか。実際に、失敗を受けて人が成長したという話もよくありますよね。事業に取り組むにあたってたくさん考えて、その結果お客様のこともよく知って。その時間がすでに成功なんじゃないかと思います。
※部署名、役職名、その他データは公開当時のものです。
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