【第5回】Nerdio Manager
~ディスクコスト削減~
2025.04.21 デジタルビジネスシェルパ
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2025.04.21 デジタルビジネスシェルパ
パブリッククラウド上でVDI環境を構成した際、最も費用が掛かるのは仮想マシン(セッションホスト)の費用です。この仮想マシンのコスト削減については、前回の記事(オートスケール機能)で紹介しました。
しかし、オートスケール機能を利用して仮想マシンの電源制御を行っても、仮想マシンに付随するディスクはそのまま残り続け、コストが発生し続けます。
今回はNerdio Managerを使って、このディスクコストを削減する方法について見ていきたいと思います。
Nerdio Managerについてお話する前に、仮想マシンが利用するAzureのマネージドディスクについておさらいです。Azureの仮想マシンはマネージドディスクとして以下の3種類のディスクが利用できます。
上から順に高価で高い性能が保証されており、現在、仮想マシンを作成すると128GBの領域を持つPremium SSDがデフォルトとして利用されます。ちなみに、Premium SSDは、使用している容量に関係なく確保した領域(今回であれば128GB)に対し課金が発生します。
これに対し、Standard HDDは性能的に劣りますが、実際に使用している容量に応じた課金体系となっているのが特徴です。
Nerdio Managerは上記に記載したディスクの特長をうまく利用しています。以下はホストプールの設定画面ですが、「RUNNING OS DISK(TEMPLATE)」と「STOPPED OS DISK TYPE」という設定項目が確認できます。
これは、仮想マシンの起動中と停止中でディスクタイプを自動的に変換する仕組みで、起動中はPremium SSDを利用し、停止中はStandard HDDを利用するという設定を行っています。
本設定を行った仮想マシンを停止させた際のログです。 ディスクが変換されていることが確認できます。
Azure Portalでもディスク状態を確認してみます。
起動中 のディスク状態
停止中のディスク状態
Azure Portal側でも、しっかりとディスクが変換されているのが確認できました。
2025年4月現在、Premium SSDとStandard HDDの価格は下記のとおりです。
Disk Type | 月額(USD) | 時間単価(USD) |
---|---|---|
Premium SSD(P10 128GB 500IOPS) | $22.670 | $0.0311 |
Standard HDD(S10 128GB) | $5.890 | $0.0081 |
仮に、1日8時間、月20日間VDI環境を利用する組織で本機能を利用した際の価格を計算してみましょう。仮想マシンの起動時間は160時間となり、残りの570時間は停止時間となります。
Disk Type | 時間単価(USD) |
利用時間(時) |
月額(USD) | 合計(USD) |
---|---|---|---|---|
Premium SSD(P10 128GB 500IOPS) | $0.0311 | 160 | $4.969 | $9.568 |
Standard HDD(S10 128GB) | $0.0081 | 570 | $4.599 |
何の対策も行わずPremium SSDを730時間使い続けた場合は$22.67となるため、その差額は$13.102($22.67-$9.568)となり約57.8%の削減効果が出ていることが確認できます。
これは、大量の仮想マシンを動作させるVDI運用においては決して無視できない金額です。
Nerdio Managerのディスクコスト削減機能、いかがでしたでしょうか?
今回紹介したディスク変換機能以外にも、ディスクのシュリンクやプロファイル領域のシュリンクといったコスト削減機能が、まだまだあります。
また、Start on Connectと呼ばれる、ユーザーが接続した際に対象のセッションホストを自動起動させる機能や、自身の利用するセッションホストへの操作(電源操作等)を可能とするセルフサービスポータルといった機能もあります。これらを併用することで、より効率的で無駄のない運用が可能となります。Nerdio Managerを導入する際には、ぜひこれらの機能を活用してみてください。
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