OutSystems Developer Cloud(ODC)は、迅速かつ効率的なアプリケーションの開発・展開を支援し、企業のデジタル戦略を加速させる強力なツールです。開発プロセスの効率化や生産性向上に大きく貢献します。本記事では、OutSystems Developer Cloudの概要やメリットなどを詳しく解説します。
OutSystems Developer Cloud(ODC)とは
OutSystems Developer Cloud(ODC)は、2023年4月に日本国内での提供が開始されたクラウドネイティブかつローコードで開発できるプラットフォームです。開発、デプロイ、運用、監視、管理までを統合的にサポートするプラットフォームで、迅速かつ大規模なプロジェクトにも対応することが可能です。
OutSystems Developer Cloudの特徴
OutSystems Developer CloudはAWS(Amazon Web Services)を基盤とし、Kubernetesを利用して運用されている統合プラットフォームです。通常、クラウドネイティブなアプリケーションプラットフォームの構築には1年~1.5年と200万ドルのコストがかかります。しかし、OutSystems Developer Cloudを利用することで、構築に要する時間とコストの両方を削減できます。そのほかにもOutSystems Developer Cloudには、ビジュアルモデリング、AI、自動化を活用して、迅速に開発できるなどの特徴があります。
OutSystems Developer CloudとOutSystems 11の違い
OutSystems Developer CloudとOutSystems 11(O11)は、アプリケーションのアーキテクチャが異なります。OutSystems 11は従来のモノリシックアーキテクチャを採用しており、アプリケーション全体が単一のコードベースで構成され、一体として動作します。一方、OutSystems Developer Cloudでは、クラウドネイティブなマイクロサービスアーキテクチャを採用し、各機能を独立したサービスとして分割・管理することで、スケーラビリティや柔軟性を高めています。
OutSystems Developer Cloudではモジュールの概念が撤廃されました。従来のモジュールはAppやLibraryと呼ばれるコンポーネントになり、コンテナ単位で管理します。アプリ間の結合度が低くなることで、スケーラビリティが大きく向上しました。
OutSystems 11ではMS SQLやOracleを使用していましたが、OutSystems Developer CloudではAmazon Aurora(PostgreSQL互換)を採用し、クラウドネイティブ環境に適したデータベース構成となっています。さらに、Windows Server上で動作していたO11とは異なり、OutSystems Developer Cloudの実行環境はLinuxコンテナです。このことも、リソースの効率的な利用とスケーラビリティの向上に大きく寄与しています。また、従来は別々の管理ツールとして提供されていた機能がポータル上に統合されており、開発や運用の効率が向上しています。
OutSystems Developer Cloudのメリット
ここでは、OutSystems Developer Cloudの導入でどのようなメリットが得られるのかを詳しく解説します。
効率的なアプリケーション開発
OutSystems Developer Cloudの大きなメリットのひとつは、開発効率の向上です。クラウドに最適化されたローコードツールを提供することで、開発者はアプリケーションの設計や実装に集中でき、開発期間の短縮が可能になります。また、スケーラビリティや柔軟性、高度なセキュリティを備えているため、企業の成長や変化に応じた迅速なアプリケーション開発を支援します。これにより、ビジネスニーズへのすばやい対応とコスト削減を実現できます。
高パフォーマンス
OutSystems Developer Cloudは、ビジュアルモデリング、AI、自動化技術を統合したシームレスなクラウド開発基盤を提供することにより、開発プロセス全体のパフォーマンス向上が期待できます。開発からデプロイ、変更管理までを一元的に管理することで、複数のツールを切り替える必要がなくなり、作業効率が向上します。また、AIによる設計支援や自動化されたプロセスにより、開発者は反復的な作業から解放され、創造的な作業に集中できるようになります。その結果、チームの生産性が最大化され、アプリケーション開発のスピードと品質が向上します。
継続的に進化するクラウドプラットフォーム
AWSを基盤とするOutSystems Developer Cloudは、クラウドの仕組みを最大限に活用しています。例えば、最新プラットフォーム機能の常時提供です。プラットフォームにおいて自動的にアップデートが行われるため、開発者は常に最新のテクノロジーや機能を利用できる環境が維持されます。新しい機能やセキュリティの更新を手動で適用する必要がありません。さらに、需要に応じて自動的にスケールアップやスケールダウンを行い、常に適切なリソース配分を維持することが可能です。
学習コストや運用コストを削減
クラウドネイティブアプリケーションにとって、オートスケール機能は非常に重要です。OutSystems Developer Cloudはこの要素を実現するため、Kubernetesを採用しています。Kubernetesの複雑な知識を習得したり、その運用に時間をかけたりする必要はなく、開発者はアプリケーションロジックの実装に集中できます。
高度なDevOpsが可能
OutSystems Developer Cloudの特筆すべき機能のひとつは、バックグラウンドで自動的にコードのビルドやテスト、デプロイを行うCI/CDパイプラインです。この機能がもたらす効果として、開発チームは優秀なDevOps担当者と同等のスピードと頻度でアプリケーションのデリバリーが可能になります。コードの統合やテスト、デプロイいったプロセスが継続的かつ効率的に実行されるため、DevOpsの複雑な作業に悩まされる心配はありません。
オープンな思想のプラットフォーム
OutSystems Developer Cloudは、オープンな思想を持つプラットフォームとして設計されています。特定のツールやサービスに縛られない柔軟な仕組みを持っており、全ての機能がAPI経由で使用できるAPIファースト設計です。この設計思想のおかげで、OutSystems Developer Cloudでは管理、監視、DevOps、認証、ガバナンスなどのシステム運用や開発に必要な機能をほかのツールやシステムと容易に連携できます。
さらに、OutSystems Developer Cloudは特定の技術やベンダーに依存することなく、様々な要件に柔軟に対応できます。この特性は、企業が変化するビジネスニーズに迅速に適応し、新しい技術やサービスを容易に統合できることを意味します。
生成AIを活用してアプリの生成・提供・監視を支援する「Mentor」を発表
OutSystems社は2024年10月、OutSystems Developer Cloudの価値を大きく向上させる重要な次世代ツール「OutSystems Mentor」を発表しました。OutSystems Developer Cloudの機能を拡張し、AIを活用したより効率的で高品質なアプリケーション開発を可能にします。
Mentorには、主に以下のような特徴があります。
- 業界初の本格的なSDLCデジタルワーカーとして、ソフトウェア開発ライフサイクル全体を効率化
- フルスタックアプリの生成
- 生成AIを活用して、数分でデータモデル、ロジック、UIを備えた拡張性の高いアプリを作成
- Microsoft Azure、AWS、Meta、OutSystemsのAI技術を利用し、アプリ生成を簡便化 - AI支援によるイテレーション
- アプリのアップデート、コードのリファクタリング、テスト、デプロイを迅速に実施
- セキュリティチェックやコード分析を自動化し、リスクを最小限に - 生成AIの組み込み
- AIエージェントを数分でアプリに統合し、生産性とパフォーマンスを向上
- モデルやデータを一元管理し、安全で効率的なAI運用を実現 - AIを活用したレビューと検証
- コーディングのベストプラクティスを遵守しているかリアルタイムで確認可能
- アプリのアーキテクチャ、セキュリティ、パフォーマンスを最適に維持
Mentorを活用すれば、従来よりも格段に速くアプリケーション開発を行えるようになります。生産性を向上させながら、高い品質基準を満たせるツールです。
まとめ
OutSystems Developer Cloudは、クラウドネイティブなローコード開発プラットフォームです。AWSを基盤にマイクロサービスアーキテクチャを採用することで、アプリケーションの開発から運用までを効率的に統合し、迅速な開発と柔軟な拡張性を実現します。また、Kubernetesによる自動化やCI/CD、AI活用のMentorなど、開発コスト削減と品質向上を実現できます。OutSystems Developer Cloudの導入をご検討の際は、ぜひ当社にご相談ください。
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