働き方改革をサポートするデジタルワークプレイスとは?

 2021.09.15  2024.01.17

新型コロナウィルス感染症の爆発的な拡大により、企業における通常業務の進め方も大きな変化を余儀なくされています。従業員が「いつ」「どこ」からでも日常業務をこなすことができる、オフィスに替わる仕事の空間「デジタルワークプイレス」が注目され、生産性向上の切り札とも期待されています。

ニューノーマルが叫ばれる昨今、どのような環境を整えれば「デジタルワークプレイス」の構築が実現できるのか、代表的なツールや考慮点をご紹介します。

Digital Transformation Next ~シリコンバレー発DXレポート~(CTC DX Days 2021 chapter2 講演資料)

VDI(Virtual Desktop Infrastructure)

新型コロナウイルス感染症の影響によるテレワークの導入は加速度的に進み、多くのツールやセキュリティ対策製品、また在宅業務をサポートするためのサービスが普及しました。

従来から大手企業を中心に、社内インフラのセキュリティ対策として導入されていた「仮想デスクトップ(VDI)」は、社内インフラのテレワーク対応に最も適した選択肢の1つと言えます。

VDIのマーケットにおいて豊富な事績をもつCitrix社では、従来のオンプレ型のSBC(Server Based Computing)から、ITリソースの効率化や運用負荷の削減、またWindows Server 2008R2のEOSLを受けて、一気にVDIのクラウド化を推進するため「Citrix Cloud for Azure Virtual Desktop」を展開しています。

また、2021年8月にはマイクロソフト社からWindows 365が発表され、月額2,720円(CPU 1コア、メモリ2GB、ストレージ64GB)から利用できるエントリー版がリリースされました。Windows 10をクラウドで利用できることから、今までコスト面で導入に二の足を踏んでいた中堅・中小企業でも十分に検討可能なサービスとして注目されています。

このように、VDIソリューションは、オンプレ型からクラウド型へと進化が進み、サービスバリエーションも多様化がすすんでおり、デジタルワークプレイスの新たな潮流として改めて注目されています。

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オンライン会議

Web会議を中心にオンライン会議が普及したことで会議の様態は変化しています。通常ならば、会議とは特定の場所に参加者が集合して開催するものですが、Web会議にはその概念がありません。参加者全員がWeb上の会議室に集まれば、すぐにフェイストゥフェイスでのコミュニケーションが取れ、移動時間やコストも大幅に削減することができます。

働き方改革においてオンライン会議は欠かせないツールであり、とりわけテレワークを実践している企業では必須ツールです。離れた場所にいる人同士がまるでその場にいるかのようなコミュニケーションが取れるので、在宅ワークを行う人材もオフィスにいる人材と簡単に対話できます。

オンラインストレージ

働き方改革を実現するためには気軽にアップロードかつダウンロードできるファイル共有スペースが欠かせません。オンラインストレージはビジネスかプライベートかを問わず導入されているツールの一つであり、すでに導入している企業も多いでしょう。

インターネットを経由してファイルを共有できるため、同じオフィス内にいなくともファイルを共有できますし、かつ顧客先に行ってもファイルを閲覧できるので、様々なワークスタイルを実現できます。

また、PPAP問題で端を発した暗号化メールの送信も、手間ばかりで効果が期待できないことが指摘され、オンラインストレージによるセキュアなファイル共有が注目されています。

ビジネスチャット

ビジネスコミュニケーションの基本といえばこれまでメールが主流でしたが、最近ではビジネスチャットを導入するケースが増えています。ビジネスチャットを使用すればメールよりも気軽にメッセージのやり取りができ、ちょっとしたミーティングも行えます。

何より、やり取りの履歴が時系列で蓄積されるため、後でメッセージを見返してミーティングの内容を振り返ることも可能です。ビジネスチャット上でファイルを共有することも可能なので、スピーディーな情報伝達が実現できます。

社内SNS

社内SNSとはFacebookやTwitterのように、気軽なコミュニケーション基盤を社内に整えるためのツールです。役職や部門の垣根を越えたコミュニケーションが実現すれば新しいアイディアが生まれやすくなり、気軽なコミュニケーションスペースとして情報共有が促進します。

ビジネスチャットはコミュケーションに特化したツールになりますが、社内SNSは情報発信としての効果が高く、経営者や役員が率先して社内SNSの活用に取り組めば、新しい企業文化が創出され、働き方改革の一手として活用できます。

グループウェア

グループウェアとはここまでご紹介したツールを包括的に提供するためのツールです。グループウェアを導入することで社内外のコミュニケーション基盤を整えることが可能であり、特にクラウド形のサービスを利用することで、システム運用管理の負担もなくなり、高度なセキュリティ環境が整ったデジタルワークプレイスを手に入れることも可能です。

現在ではコミュニケーションのためのツールだけでなく、タスク管理やコラボレーション機能など、ビジネスを遂行するために便利な様々な機能やツールが備わっており、製品ごとにその特長も異なるため、他のシステムとの親和性や連携機能なども含めて比較すると、より効果的に導入できます。

ナレッジベース

情報共有のためのツールとしてよく使用されるのが社内ポータルサイトです。いわゆる従来の社内掲示板のようなもので、これをWebサイトとしてデジタル化したものを指します。ただし社内掲示板よりも情報更新のスピードが速く、長期にわたって過去の情報を蓄積していけるのが利点です。

さらに現在では、蓄積したデータをAIが解析し、社内のナレッジベースとしても活用されています。顧客サポートを提供するコンタクトセンターのFAQなどでもナレッジベースを活用することでサポート品質の向上が図られています。

RPA(Robotic Process Automation)

デジタルワークプレイスに加えて、業務の自動化・効率化として注目されているのがRPAです。経理や総務といったホワイトカラー分野では、定型的に発生し、かつルールや論理が定められている業務が多く存在します。こうした業務の多くは往々にしてRPAによる自動化が可能です。一般的には開発者がパソコン操作をRPAに記録させ、記録させた業務プロセスを実行することで自動化が実現します。

またデスクトップのアプリケーション内で自動化を実行する機能やソフトウェアをRDA(Robotic Desktop Automation:ロボティック・デスクトップ・オートメーション)と呼びます。

どちらも、管理業務部門や経費精算や出勤表の打刻など、繰り返し行われる作業や大量に処理する必要がある業務などで大きな効果が期待できます。

処理の自動化が進むことは、オフィスでの勤務に縛られることがなくなり、在宅勤務やテレワークなどニューノーマルなワークスタイルをサポートするツールの一つと言えます。

セキュリティと認証基盤

セキュリティや認証基盤は、安全な働く空間(=デジタルワークプレイス)を構築する上で、欠くことのできない重要なシステム基盤となります。

エンドポイントやネットワーク経路、さらにはデータやファイルの保管先とその暗号化など、業務を行う上でデータの作成、移動、保存、保管、共有など、高度なセキュリティ対策が求められます。

また、クラウドサービスや様々な社内システムや業務アプリケーションを利用する際にも、社員が「いつ」でも「どこから」でもアクセスできる環境の整備が必要です。ユーザ認証はより強固なものである必要がありますが、一方で利便性を損なうわけにもいきません。

多要素認証とシングルサインオンを組み合わせるなど、実態に沿った認証基盤の構築が生産性とセキュリティ双方の効果を高めます。

デジタルワークプレイスはツールを複合的に組み合わせる

自社内にデジタルワークプレイスを実現するにあたっては、特定のツールを1つ導入すればよい!ということはありません。大切なのは実現したいワークスタイルによって、複数のツールを組み合わせた有効な施策を考えることです。

また常に変化する状況も踏まえて、柔軟にシステム構成や使用するサービスを変更していくことも、これからのビジネスを支える基盤として重要な役割となります。

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