デジタルマーケティングとは? メリットや施策立案の流れについて解説

 2024.07.31  デジタルビジネスシェルパ

現代は情報通信技術の進展に伴って顧客や消費者のニーズが多様化しており、競合他社との差別化が困難な時代になりつつあります。このような社会的背景の中で参入市場の競争優位性を確保するためには、デジタルマーケティングの推進が不可欠です。本記事ではデジタルマーケティングの基礎知識について解説します。

デジタルマーケティングソリューション

デジタルマーケティングとは?

デジタルマーケティングとは?

デジタルマーケティングとは、コンピュータやインターネットなどのデジタル技術全般を活用するマーケティング手法の総称です。PCやモバイルデバイスなどの情報機器を活用するのはもちろん、WebサイトやEメール、検索エンジン、Web広告、SNS、動画配信サービス、AI、IoT、クラウドコンピューティング、デジタルサイネージなど、様々なデジタル技術を駆使してマーケティング活動を推進します。

デジタルマーケティングの本質的な役割は、データを起点とするマーケティング戦略の展開です。マーケティング活動は大きく分けると、市場調査や競合分析、市場ニーズの分析、ターゲティングといった上流設計と、コンテンツ制作やチャネル管理、広告キャンペーン展開などの下流設計に分類されます。端的に言えば、上流設計は大局的な計画の立案・戦略の策定、下流設計は局所的な施策の実践・戦術の実行です。

デジタルマーケティングは市場の変遷や需要動向などを調査・分析し、様々なチャネルから収集・蓄積されたデータを活用して顧客ニーズや消費者インサイトを掘り下げます。そして見込み客に対してパーソナライズされた顧客体験価値を創出し、競合他社との差別化を図ると共に、市場の競争優位性を確立することが目的です。したがって、デジタルマーケティングでは大局的な指針を定める上流工程の設計が重要です。

Webマーケティングとの違い

Webマーケティングとは、Web上のチャネルを主体として展開するマーケティング手法です。WebマーケティングはWebサイトやWeb広告、SNSといったオンライン上の媒体を中心として広告やキャンペーンなどを展開します。一方、デジタルマーケティングはWeb上のチャネルのみならず、AIやIoT、データ分析基盤なども含むデジタル技術全般が活用の対象です。つまりデジタルマーケティングに内包される手法のひとつがWebマーケティングという関係性です。

デジタルマーケティングが注目を集める背景

デジタルマーケティングが注目される理由のひとつは購買行動の変化です。マスメディアが主流の時代は、Attention(認知)→Interest(関心)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(行動)のAIDMAと呼ばれる購買行動が一般的でした。しかし現代では、Attention(認知)→Interest(関心)→Search(検索)→Action(行動)→Share(共有)の頭文字をとったAISASという購買行動が主流です。

つまりインターネットとモバイルデバイスの普及によって顧客や消費者が多様な情報に触れる機会が増大し、購買行動にインターネットを介した情報検索と口コミの共有が加わったのです。個人であればSNSでの情報収集後の購入などが多くあります。
企業であれば、顧客は情報収集のためにホワイトペーパーをダウンロードしたり、企業の発信する情報を見たりします。特にホワイトペーパーのダウンロードであれば、顧客が情報を得ることができるのはもちろん、企業側にとっては顧客のメールアドレスなどの情報を取得し、そこからアプローチをかけていくことが可能になるため、顧客の実名化の観点からも非常に重要な施策となっています。
このような背景から、デジタル技術を駆使して多様なニーズを分析すると共に、オンライン上の顧客接点を強化するデジタルマーケティングの推進が求められています。

マーケティングの真のデジタル化を目指してマーケティングデジタル化構想サービス
BtoB企業向けデジタルマーケティング支援概要

デジタルマーケティングを導入するメリット

デジタルマーケティングを導入するメリット

デジタルマーケティングは顧客や消費者の細かい情報分析をリアルタイムに行えることで、より精度の高いマーケティングを実現できます。得られる主なメリットは以下の5点です。

  • 消費者の行動分析をリアルタイムで行える
  • 自社に関心の高い見込み客を見つけられる
  • 見込み客ごとにパーソナライズされた施策を打てる
  • 多様なチャネルでユーザーと接点を持てる
  • 従来のマーケティング施策よりもコストを下げられる

消費者の行動分析をリアルタイムで行える

Web上のチャネルを広告宣伝やキャンペーンに活用することで、ユーザーの行動や興味・関心をリアルタイムで把握できます。例えば従来の紙媒体による広告は物理的な制約があるため、施策の成果をリアルタイムに計測するのは容易ではありません。デジタルマーケティングはWebサイトの検索流入数やメールマガジンの開封率、SNSの投稿に対するユーザーの反応といったデータをリアルタイムに分析できます。

自社に関心の高い見込み客を見つけられる

受注確度の高い見込み客を発掘できます。例えば、ユーザーの検索キーワードに連動して広告が表示されるリスティング広告を活用することで、自社の製品やサービスに対して一定以上の興味・関心を抱く見込み客を獲得できます。また、アクセス解析でユーザーの性別や年齢、居住地などを把握できるため、見込み客のセグメントやリードナーチャリングを効率的に推進できる点も大きなメリットです。

見込み客ごとにパーソナライズされた施策を打てる

特定の見込み客に個別化されたアプローチを行えます。例えば、ユーザーの行動情報に基づいてEメールを配信するリターゲティングメールが挙げられます。ユーザーが行った特定のアクションを追跡してEメールを配信できるので、ECサイトで製品をカートに入れたものの購入に至らなかったユーザーに対し、1週間後にフォローアップメールを送信するといったアプローチが可能です。

多様なチャネルでユーザーと接点を持てる

多様な顧客接点を創出できます。例えばリスティング広告は受注確度の高い見込み客を集められるものの、費用対効果を考慮すると潜在顧客へのアプローチには適していません。SNSはユーザー層の幅が広すぎてコンバージョンの獲得には不向きですが、潜在顧客との接点を生み出せる可能性が高いメディアです。Web上のチャネルはそれぞれに一長一短があり、それらを包括的に運用することで多様な顧客接点を創出できます。

従来のマーケティング施策よりもコストを下げられる

従来のアナログなマーケティング手法よりも低コストで効率的に運用できます。例えば、展示会は会場の設営費や製品の物流費などが発生しますが、オンライン展示会ならこうした物理的なコストを抑えられます。また、Eメールによるリードナーチャリングを推進することで、印刷物の制作費や郵送費といったコストを削減しつつ、見込み客に効率的なアプローチを仕掛けられます。

デジタルマーケティングの施策一覧

デジタルマーケティングの施策一覧

デジタルマーケティングの代表的な施策として挙げられるのが以下の四つです。

  • Web広告(リスティング広告)
  • オウンドメディア・Webサイト運用
  • SNS運用
  • 動画配信

Web広告(リスティング広告)

Web広告はデジタルマーケティングの推進に欠かせない施策です。とくにリスティング広告の運用は重要な施策のひとつです。リスティング広告はユーザーが検索エンジンに入力したキーワードに連動して表示されるWeb広告で、競合との入札競争によって広告の表示順位が決まります。例えばセキュリティに関する製品を販売しているのであれば、「セキュリティソフト」、「セキュリティ 対策」、「ランサムウェア 防止」など、製品と関連するキーワードを入札することで受注確度の高い見込み客を獲得できます。

オウンドメディア・Webサイト運用

オウンドメディアのようなWebサイトは、潜在顧客との接点創出や見込み客の獲得・育成、既存顧客のロイヤルカスタマー化など、幅広い用途に活用できる媒体です。仮に自社の製品・サービスと関連性の薄いキーワードで流入したユーザーであっても、有益な情報やエンターテイニングなコンテンツを提供できれば、見込み客へ昇華する可能性があります。そこからお問い合わせや資料請求、無料トライアルなどにつなげる導線を設計できればリードの獲得を促進できます。

SEO(検索エンジン最適化)

オウンドメディア運営においては、SEOの概念が非常に重要です。
SEOの重要課題はキーワードの選定と有益なコンテンツの作成です。見込み客のニーズを分析して検索エンジンに入力するキーワードを予測し、そのキーワードに基づくコンテンツを作成することで受注確度の高いユーザーの流入が期待できます。さらに、アクセス解析でPVや直帰率、ヒートマップ、スクロール深度などを分析し、コンテンツの継続的な品質改善を図ることで見込み客の育成を促進できると共に、検索エンジンから高い評価を得られる可能性が高まります。

SNS運用

SNSは潜在顧客の認知獲得やブランディングに適したメディアです。例えばX(旧Twitter)は情報の拡散力に優れ、潜在顧客との接点を生み出せるため、幅広いユーザー層の意見を収集できます。Instagramは視覚的な訴求によってブランディングを促進できると共に、若年層の認知を獲得しやすい点がメリットです。インプッションやエンゲージメント率などを分析し、魅力的な企画を考案できれば、広告費をかけることなく爆発的な認知を獲得できる可能性を秘めています。

動画配信

動画配信サービスは広範なユーザーにリーチできるため、見込み客の獲得やブランドの認知度向上などに役立つメディアです。製品・サービスの紹介動画やチュートリアル、企業の裏側を紹介する動画など、様々なコンテンツの提供を通じて多様な顧客接点を創出できます。また、ライブストリーミングを活用したイベントやウェビナーの開催も可能です。再生回数やインプレッションのクリック率などを調査し、コンテンツの品質改善を図ることで新たな市場を開拓できる可能性があります。

昨今のデジタルマーケティングはAIも多く活用されている

昨今のデジタルマーケティングはAIも多く活用されている

近年、デジタルマーケティングの分野では、AIの戦略的活用を推進する企業が少なくありません。例えばWeb広告では、収集・蓄積されたデータを分析し、PDCAを回し続ける継続的な改善が求められます。こうした領域に機械学習を活用できれば、Webサイトの閲覧履歴やECの購入履歴といったデータセットを学習させることで、見込み客の需要動向や購買行動に関する分析を自動化できます。また、コンタクトセンターにAIチャットボットを導入し、VOCの収集・分析を自動化するといった施策も可能です。

デジタルマーケティングにおける戦略立案の流れ

デジタルマーケティングにおける戦略立案の流れ

デジタルマーケティングにおける上流工程の基本的な設計プロセスは以下のとおりです。

  1. デジタルマーケティングの目的を明確にする
  2. フレームワークを使用し市場を細分化する
  3. カスタマージャーニーを作成する
  4. KPIを設定する

デジタルマーケティングの目的はデータを起点とするマーケティング戦略の推進であり、大局的な指針を定める上流設計が重要です。

1. デジタルマーケティングの目的を明確にする

デジタルマーケティングは目的によって必要な施策が異なるため、最終目標を意味するKGIの定義が必要です。対象となる製品やサービスを設定し、達成すべき目的を明確化することで、その実現に至るプロセスを可視化して具体的な戦略を立案できます。例えば、売上高:前年比+20%、新規顧客獲得数:前年比+10%、コンバージョン率:前年比+20%、LTV:前年比+15%、などが代表的なKGIです。

2. フレームワークを使用し市場を細分化する

デジタルマーケティングの本質は、データを起点としたターゲティングとパーソナライゼーションです。多様なチャネルを介して収集・蓄積されたデータを分析し、受注確度の高い見込み客を育成して絞り込み、個別化されたアプローチによってコンバージョン率を高めます。そのためには参入する市場を細分化し、自社の強みや競合他社の動向、需要の変遷などを多角的に分析しなくてはなりません。こうしたマーケティング分析の代表的なフレームワークは以下の3つです。

STP分析

STP分析は、Segmentation(セグメンテーション)・Targeting(ターゲティング)・Positioning(ポジショニング)という3つの要素を分析するフレームワークです。Segmentationで参入市場を特定の基準に基づいて細分化し、Targetingで自社の製品やサービスに適した市場を絞り込み、Positioningで選定した市場に対して自社のプロダクトをどのように位置付けるかを決定します。

4P分析

4P分析は、Product(製品)・Price(価格)・Place(場所)・Promotion(販売促進)の4要素を分析するフレームワークです。製品やサービスのコンセプトと適正価格を設定し、最適な販売場所や物流経路を考え、具体的な訴求方法を定めるのが基本的な流れです。それにより、どんなプロダクトを提供するのか、いくらで提供するのか、どこで提供するのか、どのように認知拡大を図るのかを体系化できます。

4C分析

4C分析は、Customer Value(顧客価値)・Customer Cost(顧客コスト)・Convenience(利便性)・Communication(コミュニケーション)という四つの要素を顧客視点で分析するフレームワークです。Customer Valueは顧客が受け取る価値、Customer Costは顧客が支払うコスト、Convenienceは顧客が購入に至るまでの利便性、Communicationは顧客接点を創出する方法や場所を意味します。

3. カスタマージャーニーを作成する

参入市場の細分化後は架空の見込み客となるペルソナを設計し、その見込み客がプロダクトの認知から購入に至る工程をカスタマージャーニーマップで時系列的に整理します。カスタマージャーニーは認知→興味・関心→比較・検討→購入というプロセスを辿るのが一般的です。各フェーズで見込み客が何を求めており、どのような購買心理で購入に至るのかを分析し、顧客接点の創出やリードナーチャリングにつなげる具体的な戦略を立案・策定します。

4. KPIを設定する

カスタマージャーニーに基づく戦略の指針を定めたら、次は各フェーズのKPIを設計します。代表的なKPIの指標として挙げられるのが、コンバージョン率、広告のクリック率、メールマガジンの開封率、ROAS(Return On Advertising Spend:広告費用対効果)などです。これらの指標に具体的な数値目標と期限を設定し、定期的な効果測定を実施します。それにより、現状の達成度合いを検証・分析し、その知見に基づいてボトルネックを特定したり、施策を調整・改善したりできます。

デジタル特性を最大化する「デジタルマーケティングソリューション」

デジタル特性を最大化する「デジタルマーケティングソリューション」

デジタルマーケティングは様々なデジタル技術を包括的に運用する手法であり、先進的なシステムやWeb上のチャネルに関する幅広い知見が必要です。伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)では、デジタルマーケティングで成果を上げるために、全体を俯瞰した構想が不可欠であると考えています。すなわち成果を上げられるのは、

  • 顧客体験価値を高める施策
  • 顧客属性・行動データなどの活用データ
  • 施策実行を支えるテクノロジー

のデジタル化の三要素が同時に満たされた取り組みが行われたときです。CTCでは、テクノロジーありき、施策ありきではなく、クライアントの目指すデジタルマーケティングの姿を実現するために、企画の立案から取り組みの推進までを支援しています。具体的には、最適なデジタル技術の選定やITインフラのアセスメント、マーケティング環境の整備、ロードマップの策定などをトータルで支援し、デジタルマーケティングで成果を上げることを目指します。デジタルマーケティングで成果を上げたいと考えているのであれば、同社が提供するサービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

デジタルマーケティングソリューション|伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)

まとめ

まとめ

デジタルマーケティングとは、デジタル技術全般を活用するマーケティング手法の総称です。Web広告やオウンドメディア、SNS、動画配信サービスなどを包括的に活用し、見込み客の獲得・育成や既存顧客のロイヤルカスタマー化を促進します。デジタルマーケティングの主なメリットは、リアルタイムな行動分析や見込み客の効率的な獲得、施策のパーソナライゼーション、多様な顧客接点の創出、コストを抑えた戦略展開などです。

TV広告や新聞広告といった従来の手法は不特定多数の潜在顧客にアプローチできるものの、見込み客にパーソナライズされたプロモーションには適していません。デジタルマーケティングは複数のチャネルを介して多様な属性のユーザーを集め、購買意欲に応じたリードナーチャリングを展開できます。それにより、見込み客に個別化されたアプローチを仕掛けられるため、従来の手法と比較してCAC(顧客獲得単価)を抑えつつコンバージョン率の向上が期待できます。

CTA

RECENT POST「デジタルマーケティング」の最新記事


デジタルマーケティング

マーケティングDXを阻む壁、どう乗り越える?【伊藤忠テクノソリューションズ×石井龍夫氏対談】

デジタルマーケティング

取引先との接点の変化とマーケティング施策~営業とマーケティングの連携で生まれる新たな価値~【後半】

デジタルマーケティング

取引先との接点の変化とマーケティング施策~営業とマーケティングの連携で生まれる新たな価値~【前半】

デジタルマーケティング

MAツールとは? 注目される背景やできること、導入メリットを解説

デジタルマーケティングとは? メリットや施策立案の流れについて解説
CTA

RECENT POST 最新記事

CTA

RANKING人気記事ランキング


OFFICIAL SUPPORTER