構造化データは、SEO対策として有用です。Webページがユーザーに見つかりやすくなったり、評価の獲得に繋がったりします。SEO対策として構造化データを扱うためにも、まずは概要をおさえましょう。本記事では、構造化データの概要や、メリット・デメリット、実際の使用例などについて解説します。
企業と消費者の両者にとって利点が多い構造化データを理解し、SEO対策をさらに強化しましょう。
構造化データとは
構造化データとは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンに、Webページの内容を正しく理解、認識してもらうためのコードであり、行と列の概念を有する点が特徴です。
定義されたフィールドに配置されるデータであり、一般的にはRDB(リレーショナルデータベース)に保管されます。RDBは、内容の異なる表形式のデータを関連付けられるデータベースであり、RDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)を用いることで求める情報を容易に取得できます。
検索エンジンにとって、データに含まれるテキストはただの文字列であり、それがどのようなものなのか正確に判断できません。
構造化データを用いれば、ただの文字列に情報を付与できます。その結果、検索エンジンはコンテンツの内容を正しく理解できるようになります。
例えば、「バス」というテキストだけでは、乗り物なのか、お風呂のことを意味するのかわかりません。構造化データを用いることにより、「乗り物のバスである」との情報を検索エンジンに伝えられるため、検索ユーザーも求める情報へスムーズにアクセスできます。
また、RDBに格納された構造化データは行と列によってデータが丁寧に整理されている点が特徴です。それゆえに、どこにどのようなデータが存在するのか明確であり、集計や解析、比較、分析などを行いやすいという特徴もあります。このような特徴ゆえに、CRM(顧客管理システム)やERP(統合基幹業務システム)など、効率的なデータの管理が求められるツール、システムに用いられています。
非構造化データとの違い
非構造化データとは、構造化されておらず意味が付与されていないデータを指します。構造化データと違ってデータに規則性がなく、数値や表などで整理できない点が特徴です。
非構造化データの種類として、音声や画像、テキスト、動画などが挙げられます。加工や処理が行われておらず、そのままの状態で使用される点も特徴です。
なお、構造化データと非構造化データ、どちらが優れている、どちらが重要といった話ではありません。現代ビジネスにおいては、どちらのデータも大切です。特に、非構造化データにはメールのテキストや画像、音声など、日常的な業務で触れるものが多々あります。構造化データだけに注目するのではなく、非構造化データも併せた活用を検討しなくてはなりません。
構造化データのメリット
構造化データの活用は、企業に様々なメリットをもたらします。自社が運用しているHPやオウンドメディアなどの情報が正しく伝わり、検索結果にリッチリザルトが表示されるためクリック率向上にもつながります。また、RDBはデータに一貫性があり、常に整合性が保たれている点も魅力です。ユーザーによって異なる情報が表示される、内容が違っている、といったことも起こりません。
検索エンジンに認識されやすくなる
構造化データの提供によって、検索エンジンはWebコンテンツの情報を正確に認識できるようになります。「バスと記載されているがこれは浴槽を意味するバスではなく乗り物のことである」といった具合に、正しく認識してもらえる点がメリットです。検索エンジンが情報を間違いなく理解することにより、ユーザーは求める情報へスピーディにアクセスできるようになります。
検索結果にリッチリザルトを表示できる
Webコンテンツの情報を検索エンジンが正しく認識することで、検索結果に自社で扱っている製品の価格や在庫の数、口コミ、レビューなどを表示できる可能性があります。リッチリザルトと呼ばれるこのような表示は目立つため、競合との差別化にも有効です。画像や動画などがリッチリザルトとして表示されることも多い上に、検索ページの大部分を占めるケースも少なくありません。自然とユーザーの目につきやすく、クリック率の向上が見込めます。
構造化データのデメリット
構造化データをうまく活用すれば、検索エンジンに正しい情報を伝えられ、クリック率の向上効果も見込めます。一方で、構造化データを扱うには専門知識が求められる上に、実装まで時間がかかるといったデメリットがあることを覚えておきましょう。
専門知識が必要
構造化データを扱うには高度に専門的な知識が求められます。情報を定義するための属性や属性値がいくつもあり、しかも増加していくため常に勉強しなくてはなりません。
また、構造化データには複数の形式が存在します。一般的には、Googleも推奨しているJSON-LDと呼ばれる形式が用いられますが、ほかにもmicrodataやRDFaなどがあります。形式によって記述方式が異なる上に、次々と追加されるボキャブラリも覚えていかなければならないため、専門的な知識や技術を有する人材が不可欠です。自社に人材がいないのなら外部から採用しなくてはなりません。
また、高度な専門知識を有していないと、RDBのデータベースは拡張が困難です。整合性を保つために1台のサーバーで稼働するように設計されていることが多く、いくつものサーバーへ拡張するとなれば高度な専門知識やノウハウが求められます。専門知識だけでなく相応の時間とコストがかかる点にも注意が必要です。
実装まで時間が必要
実装時には、構造化データをマークアップします。
マークアップとは、構造化データを使って、webサイトのテキストに意味づけを施すことです。構造化データをマークアップすることで、先述したリッチリザルトを検索結果に表示させられる可能性が出てきます。
しかし、構造化データをマークアップしたとしても、スムーズに動作するとは限りません。実装までに一定の時間を要するケースが多々あり、さらにその記述内容が正確かどうかチェックする必要もあります。また、既存のサイトに導入する場合、アップ済みの大量のページにマークアップしていくのは膨大な時間と労力を要するため、優先度の高いページに絞るなどの工夫が必要です。
構造化データの正確性をチェックするには、ツールの利用が一般的です。代表的なのは、Googleが提供している分析ツールのひとつ、サーチコンソールです。また、構造化データテストツールも複数社からリリースされています。
これらを用いてチェックし、問題があればその都度改善しなくてはなりません。発生したエラーの原因を突き止めて修正、検証を行い再度テスト、改善といったサイクルを繰り返さなくてはならないこともあり、実装までに多大な時間を要するケースも珍しくありません。
構造化データの構成要素
構造化データは、ボキャブラリとシンタックスの要素で構成されます。
ボキャブラリ
ボキャブラリとは、情報を定義する辞書や規格のようなものです。例えば、製品ならproduct、名称ならnameのように、テキストがどのような意味をもつのか定義づけ、検索エンジンに正しく情報を伝える役割を担います。
代表的なボキャブラリはschema.orgです。これは、GoogleやYahoo!、Microsoftの3社によって立ち上げられたボキャブラリです。この規格を用いる際には、タイプとプロパティを記述します。例えば、Productはタイプの、nameはプロパティの一種です。タイプによって何について記載しているかを、プロパティによってタイプに関する情報を検索エンジンに伝えます。
なお、企業情報を構造化する際には、所在地や電話番号などを指定すると、検索エンジンに正しい情報を伝えやすくなります。
シンタックス
HTMLへ実際にマークアップする際の仕様がシンタックスです。どのように記述するのかを決めたルール、とイメージするとわかりやすいかもしれません。記述のルールであるため、HTMLへのマークアップにおいてシンタックスは不可欠です。
シンタックスには、JSON-LDとmicrodata、RDFaの3つがあり、どれもGoogleからサポートされています。この3つであればどれでも問題はないものの、Googleが推奨しているのはJSON-LDであるため、基本的にはこちらの使用をおすすめします。
JSON-LDは、HTML内であればどこでも容易に記述可能である点がメリットです。便利なので、構造化マークアップの際にはJSON-LDの使用が一般的です。
構造化データのマークアップ方法の例
HTMLファイルに直接マークアップする
主流であるJSON-LDを用いる際には、「”キー名”:”値”」の形式を使用し、キー名の内容を値で示します。記述はhead要素内が一般的です。構造化マークアップの規格は@contextを、型名は@typeで定義しましょう。以下、JSON-LDによる記述例を紹介します。
*****************************************
例1. 商品紹介の場合
<head>
・・・
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org/",
"@type": "Product",
"name": "商品の名称",
"description": "商品の概要や特徴",
"image": "商品画像のURL"
}
</script>
・・・
</head>
******************************************
例2. 企業情報の場合
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org/",
"@type": "corporation",
"name": "ABC株式会社",
"url": "会社のURL ",
"logo": "ロゴ画像のURL",
"telephone": "0123-000-0000",
"address": {
"@type”: “PostalAddress",
"streetAddress”: “〇〇1-2-3",
"addressLocality”: “渋谷区",
"addressRegion”: “東京都",
"postalCode”: “000-0000",
"addressCountry”: “JP"
}
}
</script>
*******************************************
参考:Google 検索での構造化データのマークアップの仕組み概要
ツールでマークアップする
Googleが提供している構造化データマークアップ支援ツールは、簡単な操作でJSON-LDの構造化データを出力できる優れものです。まず、タイプの選択とマークアップしたいURLの入力をしたあとに「タグ付けを開始」を選びます。次に、ページ内の情報と、名前や画像などの項目を紐づけ、「HTMLを作成」をクリックすれば構造化データの完成です。チェックは必要ですが、できあがったコードをページに貼り付けるだけでマークアップできます。直接HTMLへ書き込むよりも容易であるためおすすめです。
似た方法としてデータハイライターでマークアップすることもできます。ただし、ツールを使用する場合は、用意されているプロパティから選択しなければならないため、登録できる情報が限定的という難点があります。また、ツールでマークアップしたデータをテストツールなどでチェックすると、エラーが抽出されやすいというデメリットがあるため注意しましょう。ツールがコンテンツにマッチしないデータをマークアップしてしまうケースがあるためです。そのため、ツールを利用せずともHTMLへマークアップできる技術の習得も求められます。
まとめ
構造化データを活用すると、検索エンジンに正しい情報を伝えられ、適切に認識されやすくなります。また、検索結果に視覚的な情報を追加できるなど、ユーザーが求める情報を速やかに取得できるという利点があります。ただし、構造化データの取り扱いには専門知識が求められ、実装に時間を要する点が難点です。エラーが出やすい、登録できる内容が限定されるといった問題はありますが、ツールを利用すれば構造化データを簡単に作成できます。RDBをはじめとした技術はまだまだ成長中であり、今後さらに新しい技術が登場する可能性はあります。常に最新の情報へアンテナを張り、素早くキャッチしようとする意識や姿勢をもつことも大切です。
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