デジタルマーケティングを支えるデータの統合

 2023.11.30  2024.11.19

デジタルマーケティングを支えるデータの統合

デジタルマーケティングソリューション

求められる背景と現状

デジタルマーケティングにおいて、顧客理解やパーソナライズ、接点/チャネルを横断してのシームレスな顧客体験の提供を実現するためには、どのようなデータを活用すればよいでしょうか。達成する手法の一つが、データドリブンマーケティングです。
データドリブンマーケティングでは、顧客一人一人に紐づく購入履歴や購入の背景、興味・関心、サイトにおける行動履歴など、様々な属性情報を収集し統合します。そしてこれらデータを可視化・分析して、顧客のニーズを予測し、パーソナライズ化した顧客とのマーケティングコミュニケーション戦略を立案することで、投資対効果(ROI)を最大化できます。従来型のマーケティングでは、市場調査の結果に基づき、ターゲットとなる顧客像の仮説を立てます。しかしこの方法では、顧客の変化をタイムリーにとらえられず目標を達成するための戦略や施策の効果を評価するポイントが少ないため、スピード感のない試行錯誤のプロセスを経ることとなり、その間に浪費されるコストも大きくなります。対照的に、データドリブンマーケティングでは、適切なタイミングで意思決定に必要な、あらゆる顧客情報にアクセスして、データからインサイトを獲得し、市場セグメントをより緻密な定義や、顧客体験のパーソナライズが可能にすることを目指します。データドリブンマーケティングの仕組みによって、リアルタイムにデータを収集・活用することで、立案した戦略や施策の効果を迅速に測定し、改善することができます。

デジタルマーケティングを支えるデータの統合-01

データドリブンマーケティングに挙げられるデータ活用では、顧客に紐づけて様々なデータを統合・横断的な利用が必要ですが、現状では多くの企業で、SFA(営業支援)/CRM(顧客関係管理)、コンタクトセンターシステムなどリアルな接点で獲得するオフラインデータと、自社WebサイトやECサイトなどのオンラインデータはそれぞれサイロ化し、データを統合できていないといったデータの課題を抱えているのではないでしょうか。
データが統合できていない場合、デジタルマーケティングの実現に向けてデータの統合が、先ず取り組むべき重要な課題といえるでしょう。

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データの統合の推進に繋がる3つのポイント

データ統合に際し、その目的を明確にすることはもちろんのこと、目的を明確にしたうえでデータの統合を進める3つのポイントについて説明します。

統合するデータを決定し統合における課題を明らかにする

デジタルマーケティング(データドリブンマーケティング)で主軸となるのは顧客情報であり、個人であれば氏名・性別・年齢・職業・年収など、企業であれば企業名、所在地、代表者、売上、業種・業界などの属性情報や、Webサイト・ECサイトのアクセスログ、購買履歴、DMやWeb広告への反応、コールセンター、店舗などにおける行動データなど、これらを統合して利用できるようにすることが求められます。システムの外側(Excelなど)で管理されているデータが存在するケースもあるので、それらも統合するための受け皿が必要となる場合もあります。
統合を進めるにあたっては目的に対して必要なデータを明確にしたうえで、保持しているデータの調査を行い、データモデルなどで全体を俯瞰しながらどの範囲でどのデータをどのように統合するか、どのデータが不足しているかなどを検討することが必要です。
全体を俯瞰した際に、顧客データを扱うシステム内で顧客IDが共通化されているかがとくに重要なポイントであり、共通化されていれば統合は比較的スムーズにできます。しかし、そうでない場合は顧客IDを共通化するか、共通化しない場合はどのように同一の顧客を識別できるようにするかが大きな課題となります。

適切なデータ統合の仕組みを検討する

データ統合の仕組みはいくつかの技術の組み合わせによって実現されます。例えば異なるシステムの間でデータを連携する場合、現在の主流はファイル連携によりデータ同期する方式です。この方式は異なるシステム環境間でデータをやりとりする方式として広く普及しおり、データを同期させるタイミングと運用負荷(障害時の復旧)を天秤にかけてバランスを調整することができます。一方で即時性という点では不十分な側面もあるため、ファイル連携以外の方式も選択肢に入れながら、連携のタイミングや頻度、扱うデータのボリュームなどの要件に合致する方法を選択する必要があります。
連携方式以外にも、異なる体系のデータをつなぎ合わせる、多様な形式のデータの保持する、大量データのデータを高速に処理する、AIを活用するなどの要件によって必要となる仕組みが異なるため、実現したいことからシステムへの要求事項を明らかにし利用する技術・製品を決定することが重要です。

デジタルマーケティングを支えるデータの統合-02

近年ではCDP(カスタマーデータプラットフォーム)として顧客情報の統合・活用をより効率的に実現できるツールが登場しています。CDPを導入することで、既存顧客に対する理解が深まり、より顧客ニーズに応じたパーソナライズされた顧客体験が提供できるようになります。CDPのなかには、デジタルマーケティングの主要なツールとのデータ連携や、リアルタイムでのデータ処理、分析機能などを備えている製品もあり、顧客情報に特化したマーケティングのためのデータ統合という点ではCDPツールを利用するほうが効率や効果の点で優れているケースもあります。現在市場に出ている製品は機能の豊富さ、関連システムとの連携のしやすさ、リアルタイムでのデータ処理などそれぞれの強みが異なるので、各製品の特徴を考慮し自社に適した仕組みを選択することになります。

CDPの主なユースケース

  • 顧客ごとのカスタマービューの作成
  • パーソナライズした顧客体験の作成
  • 広告キャンペーンのオーディエンスターゲティング
  • 他のマーケティングシステムのデータソースとしてCDPを利用
  • より良い予測分析のための顧客スコアリング
    など

推進する体制を確立する

データの統合を推進するにあたっては体制も重要なポイントです。組織横断でのデータの共有が定着しておらず関係する部署がデータの共有に積極的ではないというケースも多く、そのような状況を前提として統合を主導しステークホルダーの巻き込みなども含めて推進できる体制を確立することが不可欠です。
また、データの統合においては活用の観点で目的や対象を決めて仕組みを検討し統合を推進するだけでなく、その後のデータ品質やセキュリティを維持するなどマネジメントの面で継続的な役割を果たす体制が必要です。統合をはじめとするデータ活用が可能な状態を整備・維持するために必要な役割・体制については、データマネジメントに関する知識がまとめられたDMBOK(Data Management Body of Knowledge)が参考となりますが、書かれていることを実行するために必要な知見やスキルが不足しているケースも想定されるため、体制の確立に向けて自社に不足しているものを明らかにし、それを補う方法を考慮することが必要です。

デジタルマーケティングを支えるデータの統合-03

まとめ

デジタルマーケティングではデータの活用が不可欠であり、データを有効に活用するためにはデータの統合が必要です。データの統合が不十分であるということは施策の有効性を高めるための重要なインプットが欠けている状態であり、施策の効果が十分に得られないことにつながります。
異なる時期に異なる目的で導入されたシステムのデータを統合していく取り組みは困難な面はありますが、言い換えれば困難であるからこそデータ統合が実現できているかどうかがデジタルマーケティングでの他社との差別化の要因になりえるポイントとも言えます。

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)ではデジタルマーケティングにおけるデータ活用の実現に向けて、データ統合を含む取り組みの企画計画段階の検討から仕組みの導入における技術的なご支援までご提供しております。ぜひお気軽にご相談ください。

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