AIはスポーツの可能性を広げると言われています。スポーツとAIの可能性に興味のある方も多いことでしょう。この記事では、AIを導入することでスポーツにどのような可能性があるのか事例を交えて紹介します。AIがスポーツに与える影響について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
AIによってスポーツは変わるのか?
AIをスポーツに導入すると、アスリートや観客も今まで以上に楽しめるでしょう。
AIとは、Artificial Intelligenceの略で、日本語で表すと人工知能です。人工的な知能をコンピューター上に再現します。学習機能によって進化し続ける点も特徴です。
スポーツのデータ分析にコンピューターは導入されていますが、AIはそれ以上の効果を期待されています。スポーツの可能性を広げると言われており、すでに様々な場面で活用されています。
スポーツ業界にAIを取り入れて可能になること7つ
スポーツにAIを導入すると、アスリートやコーチは戦略の立案や体調管理などができます。また、観客は出場選手の情報の取得などに活用できます。
AIはこれまでもデータ分析や審判の判定に活用されていましたが、AIの進化によって、今以上の利用が期待されています。
スポーツにAIを導入することで何ができるのか、様々な視点から7つ紹介します。
1:戦略の立案ができる
AIの予測と分析する能力を活用すれば、対戦相手の動きをシミュレーションすることが可能となります。例えば、格闘技や球技の分野で、戦略立案に活用できます。
今までは対戦相手のデータを基に分析担当のスタッフが解析し、監督が戦略を立てていました。相手の動きを再現したコーチが練習相手を務めるなど、すべて人力と長年の勘に頼っていたことでしょう。
これからはAIが立てた戦略を選手が再現、または攻略する形式に変わる可能性があります。シミュレーションに対する戦略も、AIが立案可能です。
2:選手の情報をリアルタイムで見られる
AIを導入することで、観客がリアルタイムでデータを取得できます。試合会場でのスポーツ観戦の楽しみ方が広がるでしょう。
現在、試合会場で選手紹介の際、データを活用した情報も公開されますが、個々の観客が欲しいデータを網羅できていることは少ないです。
AIを導入すると、対戦相手のデータや過去の対戦成績、現在の試合中のデータなどをリアルタイムで入手できます。AIを活用したデータの可視化によって、観客が求める情報を提供できるようになるでしょう。
3:追尾ドローンで競技シーンを中継できる
スポーツ中継に自動追尾ドローンを導入すると、現在の実況中継よりもカメラ台数を大幅に増やせるため、ロードレース競技の醍醐味を堪能できます。
自動追尾には、選手の動きを予測するための基本データの収集や周囲の状況判断などが必要なため、実現するには多数の課題があります。しかし、追尾ドローンにより観客へのデータ提供も同時に行えます。観客は自分の応援したい選手だけの追跡も可能です。
動き続ける選手の詳細な中継は、現場に行けない観客が求める実況スタイルと言えるでしょう。
4:混雑状況を把握できる
AIの予測分析によって、イベントや大会などの混雑状況を確認することが可能になります。
大勢の観客や参加者が集まる会場は、スタッフも含めて混雑します。その際、スマホの位置情報や駅の改札利用状況などのデータを基に、AIが人の移動予測を行います。
混雑状況が予測できれば、運営者は人員配置など適切な対応が可能です。混雑の解消は快適な観戦を実現し、イベントへの不満と運営スタッフの負担を軽減します。
5:採点競技に活用できる
現在、球技では判定にデジタル機器が導入されていますが、人の判断に頼る採点競技にもAIの活用が期待されます。
体操やフィギュアスケートなどの採点競技は、審判員の好みが影響する恐れがあります。そこで演技をデジタル化して採点基準を明確化すると、公平な審判が可能となります。観客の方にも採点基準がわかりやすくなり、今まで以上に楽しめるでしょう。
6:選手のケガを予測できる可能性がある
データが少ない若手アスリートには不向きですが、ベテラン選手など豊富なデータがあれば、ケガやメンタルの不調を予測できる可能性があります。
練習メニューや試合の状況、体調、ケガの履歴などを分析すると、ある程度ケガをする状況の予測が可能です。今まで選手の経験に頼っていたコンディション調整やメンタルのサポートをAIが代行するようになります。
難しい技術ですが、収集が簡単で数値化しやすい情報から導入できます。
7:AIによるコーチングが可能になる
野球やサッカーなどのポジショニングをAIがコーチの代わりに決めることもできます。
打順や投手起用のタイミングは、試合の流れを決定づけます。監督やコーチの観察眼と経験も捨てがたいですが、AIによる理論化も選手のやる気を引き出します。
アマチュアの大会で活用すると成功体験によって選手の成長も期待でき、コーチ陣に対する選手起用や作戦面での不満の解消につながります。コーチ陣にとっても参考にできるデータです。
スポーツ業界へのAI導入事例6選
実際に様々なスポーツでAIが導入されています。元々、データを重視した指導者は多く、選手も自身の演技やプレーを撮影して参考にするなど、手持ちの機器を活用して行われています。
現在はソフトウエア開発企業によるデータ活用や、観客を楽しませるエンターテインメント性を高める工夫、大会やイベント運営の効率化も始まっています。スポーツ愛好家向けのアプリの開発も盛んです。これから、スポーツ業界のAI導入事例を6つ紹介します。
1:試合展開を予測する
AIを活用してサッカーの戦況予想を行うメディアが開発されています。
「SPAIA toto」は、蓄積したデータを基にtoto対象試合の戦況や勝敗を予想します。幅広いデータを学習させ、予想精度を高めるために試合展開のシミュレートを100回行います。
スターティングメンバーや選手の動きなど、試合展開の予測を行います。選手の退場や天候など波乱展開リスクの予想など盛りだくさんです。
2:AIが試合の解説を行う
2017年のプロ野球日本シリーズでは、NHKの実況にAIを活用した「ZUNOさん(ズノさん)」が試合状況に応じた解析を行いました。
ディープラーニングを活用して2004年からの打席データを学習させ、試合の進展に伴う予測と解析に発展させました。予測対決などの楽しめる要素もあったでしょう。
従来の解説者では予測困難な解析を担い、AIによるスポーツ解説を実現しました。
3:チケット価格をAIが判断する
プロバスケットボールの千葉ジェッツは、AIを利用して試合ごとの需要に応じてチケット価格を変動する「ダイナミックプライシング」を導入しました。
試合日程や対戦相手、座席の種類、個人の嗜好などのビッグデータを分析し、過去のチケット販売の実績などから、独自の価格算出を行います。
転売防止の抑制を目的に、価格変動と購入タイミングを無関係にできるなど安心できるシステムです。
4:選手のメンタルサポートを行ってくれる
メンタルサポートを通して、選手のモチベーションアップを行えるでしょう。
「Vi」はイヤホン型機器で、心拍数や道路の勾配、移動速度などランニングデータを計測して蓄積、分析します。分析結果を基に運動メニューの質問に対する回答も得られるでしょう。
睡眠時間や生活習慣の記録も併用して1人で練習するメンタルをサポートし、高いパフォーマンスを引き出すことが可能だと言われています。
5:選手のコンディション状態を確認する
装着したウェアラブルデバイスで心拍数などを計測し、コンディションの確認やサポートをするアプリもあります。
「WHOOP」は運動による疲労度、睡眠による回復度も計測します。結果に基づき必要な睡眠量を算出し、理想の起床時間を提案します。運動メニューや運動量に対する指導、目標達成度も表示します。
パフォーマンスの微調整も可能で、プロアスリートや一般の人、スポーツジムでも使えるアプリです。
6:トレーニングメニューを考えてくれる
AIを利用して、アスリートレベルに応じた食事メニューを提案するアプリが開発されています。
「food coach」はスポーツ栄養士による食事指導が受けられるアプリです。多彩な食事データから食べた料理の栄養価を算出し、試合前や後など場面に応じた提案も可能です。
競技種目やポジションなどによって理想の食事を点数化するなど、従来のヘルスケアより食事指導に特化しています。
まとめ
スポーツは戦略立案のためにデータを重視してきましたが、AIはまだ活用途中です。
AIを導入することで、選手は練習メニューやコンディションのサポートを受けられます。コーチ陣は裏付けのある選手起用が可能となるでしょう。観客は欲しいデータを見ながらエンターテインメント性が増した競技を楽しめ、主催者は効率的なイベント開催ができます。
プロ選手以外のスポーツ愛好家に利用できるアプリも登場し、AIとスポーツのコラボレーションは無限に広がっています。
また、AIを活用し、スポーツ関連映像のハイライト編集を行なうなど、スポーツ映像を中心に積極的なAI活用を進めている企業もあります。AIを使用してスポーツ関連事業拡大を目指している会社は検討されてみてはいかがでしょうか。
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