いまなぜ「データ利活用」が重要視されているのでしょうか。座談会の前半では、その背景と課題について熱い議論が交わされました。後半では、データマネジメントによってビジネスの成功体験につながるモデルケースや、前半で語られた課題を解決するための取り組みについて、CTCのデータマネジメントのスペシャリストが語ります。
登壇者プロフィール
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 新事業創出・DX推進グループ DX企画推進部 企画統括・マーコム課 課長 森 裕信
2001年 伊藤忠テクノサイエンス株式会社(当時)入社
2015年 経営企画室/事業グループ付にて経営計画策定、基幹系システム導入、組織再編等を担当
2021年 新事業創出・DX推進グループにて部門管理およびマーコム担当
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 エンタープライズ事業グループ デジタルビジネス推進第1部 データシフト推進課 課長 瓜田 幸代
2000年 伊藤忠テクノサイエンス株式会社(当時)入社。
数年の商品企画の部署にて新規製品の取扱い部署を経て、2003年よりLinuxビジネスの立ち上げに従事。
オープンソース系データベースやHadoopなどデータ関連ビジネスを担当。
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 デンタープライズビジネス企画室 デジタルビジネス推進第2部 部長代行 田内 康晴
2006年 伊藤忠テクノサイエンス入社(現 伊藤忠テクノソリューションズ)。サーバー仮想化、デスクトップ仮想化ソリューションの技術主管部で提案、要件定義を約10年担当。
現在は、ハイブリッドクラウド、ビジネスアプリケーション、ワークプレイスソリューションを軸としたワークシフト製品主管部門の技術/マーケティングチームのマネジメントを担当。
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 新事業創出・DX推進グループ DX推進事業部 デジタルイノベーション部 データ・アジャイル課 課長 小嶋 隆太
2011年 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社入社。大手小売業様を中心とした基幹系の開発業務に従事。
2021年より大手金融業様向けの全社DX推進を支援しており、特にデータ利活用領域に関するアジャイル開発に注力している。
ビジネスの成功体験につながるデータマネジメントの成功例
森氏
データ利活用に求められているデータマネジメントの大枠は分かりました。しかし、実際に進めていくのは大変そうな気がします。この取り組みに関して皆さんがお客様をご支援する現場で大切だと考えることや体験談をお聞かせください。
瓜田氏
やはりゴール設定が大事だと思います。小さなゴールでもいいので、目標を決めて進めていかないとデータ利活用が進んでいきません。経営層、IT部門、ユーザー部門全員が同じ方向に向かって組織全体で進めていく必要があります。DXを進めていく上で、統合データ基盤を作ることはその一部です。目標(ゴール)を決めて進めていくことは容易なことではありません。CTCでは、DXやデータ利活用における伴奏支援を提供しております。
小嶋氏
データが集まってきても、価値として届けられていないケースが多く見られます。データ利活用は、見える形で効果として出すのが重要です。
求める効果を全社規模のように全体で取り組もうとすると、どうしても時間がかかります。そこで、まずは効果の出やすいところ、直近の課題に取り組むべきだと思います。抱えている直近の課題にきちんとスコーピングをして、将来の構想を踏まえたうえで、直近のロードマップとして最初のフェーズでこういうことを実現する、という道筋をクリアに立てておくことが重要です。そのときには、やはりスピードが大事です。ビジネスを変えたいというスピードがすごく早くなってきているので、これがほしいのでお願いします、という形ではなく、ユーザーの方々がどれだけデータ利活用という活動にジョインできるかが、非常に大事な部分になってきます。
我々の役割は、ITのスペシャリストとして、お客様の業務知識を吸収しながら、業務のスペシャリストであるお客様と二人三脚で、データ利活用を進めていく伴走者だと思っています。
田内氏
データ利活用の推進には、経営サイドの考え方が大切だと思っています。経営サイドが実現したいビジネスモデルを示さないと、データ利活用のための仕組みを作ってデータを蓄積することが目的になってしまう状況になりがちです。また、データ利活用も含めたDXの推進には、リスクを取る気持ちも大切です。データ利活用には、うまくいかないことも当然あると思います。それでも、現場にチャレンジしてもらい、先陣を切ってデータ利活用に取り組むというリスクをとって予算をつける経営判断が、成果につながると思います。
データマネジメントを支える部門を超えた会話の重要性とは
森氏
データマネジメントの推進において、現場の経験で感じている課題や解決策などはあるでしょうか。
瓜田氏
先にも述べましたが、経営層、IT部門、LOB部門が三位一体となって進めていくことがDX成功の鍵となりますが、組織の中でのコミュニケーションが心理的なハードルとなり、テータマネジメントを推進する以前に障害となるようです。コミュニケーションがキーポイントになります。
小嶋氏
システム構築などのプロジェクトでは、伝言ゲームが増えてしまうと、意図しないシステムになったり、構築に時間がかかったりします。私が担当しているお客様ですと、一つ一つのテーマに対して業務部門の方と直接お話をさせていただいています。要件のヒアリングなど距離感の近いコミュニケーションが、業務部門の求めるデータマネジメントを実現する秘訣だと思います。もちろん、お客様企業のIT部門が知らないところで話が進んだりしないように、管理監督もしっかり推進する必要があります。
田内氏
お客様の意識も変わってきていると思います。社内のコミュニケーションフローをきちんと整備するメンバーがアサインされていたり、プロジェクトの品質を管理するチームが構成されていたりします。DX推進やデータ利活用は、これまでのようなSI案件とは違い、お客様自身の手で業務課題の解決のために専門家に意見をもらいながら、解決をして行きます。最終的にはお客様側でデータの品質管理や円滑な情報流通のための組織の組成が必要になります。
データマネジメントを支えるテクノロジーやノウハウで伴走するCTC
森氏
データマネジメントの取組みを支えるテクノロジーやノウハウにはどのようなものがありますか?
小嶋氏
CTCはITのスペシャリストとして、お客様をテクノロジーで支えていきます。我々の部署では、デジタルプラットフォーム×Azure Synapse Analyticsという基盤を活用して、データの利活用をアジャイル方式で進めていきます。
成功の秘訣は、お客様にどれだけ近い立場で作業できるかです。お客様の求めるビジネスニーズをITで解決します。
森氏
具体的には、どのようなデータマネジメントのためのプラットフォームがあるのでしょうか。
小嶋氏
まず「デジタルプラットフォーム構築サービス for Microsoft Azure」では、データ利活用のためのIoTシステムの実現に必要なデジタルプラットフォームをMicrosoft Azureの各種リソースを用いて構築します。データ収集や前処理に分析などの機能を備えたAzure Synapse AnalyticsをはじめとしたMicrosoft Azureの各種リソースを活用して、お客様企業に専用のデータプラットフォームを提供します。
また、Snowflakeというクラウド データ プラットフォームがあります。
Snowflakeは、単一のプラットフォームで単一のクラウドを形成し、これまでサイロ化されていたデータを一元化でき、データの統合や分析に共有を実現します。
瓜田氏
これまでは、お客様のシステム的な課題に対し、ツールや製品の提案で応えてきました。これからは、お客様の課題に対し、製品ベースではなく、課題解決までの伴走も含めて取り組んでいます。お客様に寄り添い、一緒に考え、一緒に進めていくご支援をしています。
田内氏
クラウドサービスでは、日々新しい機能、サービスがリリースされ、常に変化しています。システムを管理するためのマネジメント業務に追われると、結局はお客様の本業ができなくなってしまいます。
そのため、クラウドサービスのシステム運用をよく知る我々のような会社を活用し、お客様には本業に注力していただきたいと思います。ITの伴走者としてのCTCは、日々変化する社会やお客様に対して、新しいサービスやナレッジのご提供ができるように日々進化しています。
森氏
ありがとうございました。今回の座談会の情報が、DXとデータ利活用に取り組まれている皆様の一助になればと願っています。
※部署名、役職名、その他データは公開当時のものです。
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