前半では、先進的なDXの取り組みをされている企業様によるご講演を紹介しました。
CTC DX Days 2022 イベントレポート【前編】
後半では、ますます重要な経営課題になっている「グリーントランスフォーメーション(GX)」について、CTCアメリカ駐在員によるシリコンバレー発のDX最新動向、最後のパネルディスカッションでは、データファースト戦略をテーマに、顧客、コンサルティングファーム、クラウドデータプラットフォーマーの立場で最先端のデータビジネスを牽引するリーダーの方々にデータ活用を成功に導いた要因や新たなビジネスへの挑戦についてお話し頂いた内容の要点をお伝えします。
【CTC講演】脱炭素(GX)経営の実現に必須なDXの推進
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
科学システム本部 エネルギービジネス推進部
部長
高木 哲郎
温室効果ガスの排出実質ゼロを目指す脱炭素化への動きが世界で加速する中、CTCは、顧客企業の脱炭素の実現を支援し、サプライチェーン上に新たな価値を生み出すグリーントランスフォーメーション(GX)ビジネスに取り組んでいます。
CTCのGXビジネスは、顧客の情報システム構築業務を一括して請け負うシステムインテグレーターとしての知見と、シミュレーション技術を掛け合わせたデジタル事業です。
具体的には、①再生可能エネルギーの導入支援、②分散している再生可能エネルギーを束ねて、需要家や小売電気事業者に電力を提供する再エネアグリゲーションの支援サービス、③温室効果ガス(GHG)排出量の把握と、サプライチェーンのScope1~3で発生するGHG排出量の削減を支援するGXアドバイザリーサービスの提供、の3つの事業を軸に、GXビジネスを推し進めています。
発電所の設計から施工、運用までを支援する再エネ導入支援サービス
10年以上の実績がある再生可能エネルギーの導入支援サービスは、再エネ事業者や電力会社などを対象に、風力発電と太陽光発電の事業開発を支援するサービスです。
新たな発電所の建設時に行う適地選定や事業性評価から、発電所の建設施工の支援、運用時の遠隔監視システムなど、多岐にわたるサービスを提供するのが特長で、国内では延べ数百ヶ所以上で再エネ発電所の設置、運用を手がけた実績があります。
再エネ電力の需給管理を代行する再エネアグリゲーションサービス
再エネアグリゲーションサービスは、地理的に分散している風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギー発電所の電力を束ね、電力の需給管理を代行するサービスです。
同サービスでは、アグリゲータが行う再エネ発電事業者の需給管理業務をCTCが支援します。
CTCは電力の需給状況や市場価格を踏まえて計画的に需給管理するため、電力の発電計画量と発電実績量の差分で生じるペナルティが軽減できることが強みです。
現在、伊藤忠商事株式会社とともに、顧客が少ないリスクで再エネを利用するためのサービス構築を目指しています。
GHG削減戦略を構築するアドバイザリーサービス
アドバイザリーサービスは、各スコープのGHG排出量の現状を把握した上で、ビジョンや削減目標の策定などを通じてGHG排出量の削減を図るサービスです。
同サービスでは、まず現状を把握するために、RPAの活用や業務システムなどと連携したデータ管理によって、GHG排出量を可視化します。
その上で、企業の各業務部門と協力し、GHG排出量を削減するための戦略の構築を目指します。
効果的な戦略を構築する上では、GX戦略や削減目標を定める経営層と、実際にGHG削減を進める業務部門の両者がデータを共有することで、削減効果を検証しながら、削減のPDCAサイクルを回せる仕組みが欠かせません。
仕組みの構築プロセスのうち、データの共有では、CTCがこれまでに蓄積したDXの知見を生かすことで、セキュリティやデータガバナンスを担保しながら、GHG関連データを共有することができます。
一方で、GHG排出量の削減に向けたGXソリューションの策定では、顧客の業態や事情に合わせ、Scope1~3に適した戦略を構築していきます。
デジタルツインなどの関連ソリューション
最後にアドバイザリーサービスに関連したソリューションを紹介します。
まず1つ目は、生産や物流といった各プロセスのGHG排出量の削減のシナリオを仮想空間で比較・分析するデジタルツインシミュレーションと、拠点配置計画や配送計画、従業員の要員配置などを数理最適化の技術を用いて効率化を図るソリューションです。
これらのソリューションを実行することで企業活動を停滞させることなく、サプライチェーン全体でGHGの大きな削減効果を得ることが期待されます。
2つ目は、機械学習などの情報処理技術を活用して材料開発を行うマテリアルズ・インフォマティクスを用いた材料設計の最適化ソリューションと、超音波・電磁技術を用いてカーボンニュートラル実現に不可欠な水素インフラなどの設計や検査を支援するソリューションです。
これらは、ものづくりや社会インフラを支えるソリューション例です。
前者に関しては、本来、低炭素な材料を作り出すためには、素材の特性などを考慮したシミュレーションが必要ですが、材料設計の最適化ソリューションでは、熱力学計算に加え、機械学習を活用することで、最新の材料解析ソリューションの提供を可能にしています。
まとめ
地球温暖化の影響によって、気候の変化に伴う生態系や農業への悪影響が危惧される中、GXに取り組むことは、企業の責務と言われています。
これを踏まえ、CTCはIT基盤に加え、GHG削減のためのソリューションや再エネ活用の支援サービスなど、幅広くサービスを提供することで、顧客のGXを支援したいと考えています。
【CTC講演】DX Now-シリコンバレーのデジタルの現在と展望
ITOCHU Techno-Solutions America,Inc.
Director,Business Development
高橋 紘樹
ITOCHU Techno-Solutions America,Incがオフィスを構えるシリコンバレーのDX最新情報をご紹介します。
今回お伝えするトピックは、コロナ禍で需要が増えたリモートワークとそれに伴うテクノロジーの状況に関する「ワーク」、DXの根幹を成すデータとテクノロジーの状況に関する「データ」、DXを推進する上での守りの部分である「セキュリティ」、の3つです。
①ワーク
リモートワークの普及で大量離職が発生
リモートワークの浸透を受け、2021年以降に増えたのが、会社都合の解雇ではなく、自らの意思で退職する辞職を意味する大量離職(Great Resignation)です。
大量離職の背景として最も多く強調されているのが、労働者の「リモートワークを継続したい」という願望です。
21年に入って企業は徐々にオフィスワークを再開したのですが、労働者はこの動きに対し、非効率なオフィスワークを強要されたくないと反発。会社を離職し、リモートワークを推進している別の企業に移るという現象が多発しました。
企業が離職防止策としてSaaS活用を拡大
大量離職を受け企業は、従業員の離職防止を図ろうとSaaSの活用を拡大させました。
実際、管理系SaaSを運営するスタートアップ「BetterCloud」によると、米国の1社当たりのSaaSの利用数は、2020年の80件から、21年に110件となり約40%増加しています。
SaaSの利用数は企業規模が大きくなるほど増える傾向にあり、従業員1万人以上の企業に限定すると、450件まで増えます。
これらは、日本のSaaS利用状況と対照的な様相です。日本は平均の利用件数が10件に留まるだけでなく、米国とは対照的に会社の規模が大きくなるほど、SaaSの利用数が減るという動きを見せています。
Web 3のSaaSの活用が増えると予想
SaaSの利用拡大の未来に関しては、ユーザー間の相互運用を基調としたWeb 2.0のアプリケーションから、パブリック型ブロックチェーンを基盤にしたWeb 3のアプリケーションが発展すると予想されます。
たとえば、ウェブブラウザであれば、ChromeからBrave、ストレージであれば、DropboxからStorjといった形です。
②データ
コロナ禍で投資額が急拡大
データ関連テクノロジーは、コロナ禍の影響を受け、2020年から21年にかけて投資額が急拡大しています。
実際に、2021年のデータ関連テクノロジーの投資規模は、ビックデータアナリティクスが20年比289%増の121億ドル、データベーステックが20年比28.9%増の約28億ドルと、増加基調が顕著です。
データ利活用に向け、シチズンデータサイエンティストを配置
投資額だけでなく、データの利活用に向けた組織の在り方でも変化が起きています。
例えば、多くの企業で企業業務を手がけるビジネスチームに、本業以外でデータ分析を手がけるシチズンデータサイエンティストが配置されるようになりました。
これは、企業のDX部門や情報システム部門の人的リソースが少ないことへの対策であり、各企業はシチズンデータサイエンティストの養成に向け、教育研修などを積極的におこなっています。
最新データカタログのAlationがトレンド
組織内のデータ資産を整理したデータカタログの最新トレンドでは、データの検索や理解、協働を一元化するAlationと呼ばれるツールが注目されています。
Alationは、会社のあらゆるデータを「売上情報」などと自然言語で検索することが可能です。
このほか、データの利用頻度という機能を使い、会社のデータの中でどういった人気があって、どのような分析に使われるのかを全社員が把握できる仕様となっています。
③セキュリティ
データと同様、投資額が急成長
データ関連と同様に、セキュリティ関連テクノロジーへの投資が、急速に伸びています。
実際、投資成長性、投資規模がともに最上位に位置するサイバーセキュリティへの投資額(2021年)は、20年比199%増の289億ドルとなりました。
投資増の背景にあるのが、クラウドシフトに伴う、マルチクラウド、ハイブリッド、オンプレミスが混在することで発生するシステムの複雑化に起因する、セキュリティ関連への懸念です。
セキュリティへの懸念が高まる中、企業ネットワークは信頼できるという前提を捨て、全てを対象に安全性を検証するゼロトラストという考え方が主流となりました。
結果、システム全体を包含する領域に、SIEM(総合ログ管理ツール)などが導入されるようになっています。
悪意なき社員の油断がデータ流出の危険因子
BetterCloudがSaaS活用企業を対象にデータ流出の危険因子について調査したところ、全体の83%におよぶ企業が、「悪意なき社員の油断」を危険因子に挙げていることが判明しました。
これは、私の予想とは対照的な結果です。
同じ調査で、比率として高いと見込んだ「悪意ある内部犯行」は11%、「外部からの攻撃」は6%に留まっています。
SaaS活用時代に有効なのがSSPM
最後にSaaS活用時代のセキュリティ対策として、SaaSの設定不備を可視化、監査するSSPM(SaaS Security Posture Management)を紹介します。
SSPMの最大のメリットは、データアクセス権の評価やリスクの検出などを通じ、外部ユーザーに必要以上の権限を与えているといった、組織内部に起因する問題を事前に防いでくれることです。
一方、既存のセキュリティ対策ソリューションのCASB(Cloud Access Security Broker)では、社員の油断によって生じた情報漏洩を防げません。
この点SSPMは、CASBでは対応できない問題の発生を未然に防ぐ新しいセキュリティサービスと言えるでしょう。
まとめ
米国のDXを取り巻く現在の状況についてお伝えしてきました。様々なテクノロジーやサービスが盛んに動いていますが、その中にはすでに日本に進出しているものもありますし、その他多くが今後1年~3年で日本に入ってくるだろうと思われます。弊社は、このような最新のテクノロジーを調査し情報をご提供させていただきますので、お気軽にお声がけください。
【パネルディスカッション】DXの成功を左右するデータファースト戦略 〜データを基軸とした新たなビジネスへの挑戦〜
データ活用を基軸とし、これまでのDXを進化させるデータファースト戦略をテーマとしたパネルディスカッション。
◆イントロダクション:データファーストによるDXの進化
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
エンタープライズビジネス企画室
デジタルビジネス推進第1部 部長代行
小野 友和
データファーストによるDXの進化と題し、データファーストとは何か、データファーストによりDX がどのように進化できるのかについてお話します。
DXの軸はデジタルシフトとモデルシフト
CTCが考えるDXの推進は、 大きく2つの軸があると考えています。1つ目は、ITシステム導入により業務改革を加速させるデジタルシフトです。弊社では、デジタルシフトを、働き方を変革するワークシフト、変化に強いシステムを構築するクラウドシフト、データに基づく意思決定を実現するデータシフトの3つに分けて遂行し、企業の業務改革を促しています。
2つ目は、顧客のビジネスを丸ごとデジタル変革していくモデルシフトです。弊社は、顧客のデジタルビジネスを一緒に立ち上げる伴走型サービス「DXシェルパwithCTC®」などにより、DXの導入支援を中心としたモデルシフトを進めています。
DXを推進する上で課題となりやすいセキュリティでは、セキュリティ環境をデジタルシフト・モデルシフトの導入と一緒に提供する「with Cybersecurity」という取り組みを行っています。
データファーストはデータを軸にDXを進化させる取り組み
弊社は、データファーストについて、企業の最も重要な資産であるデータを活用し、データを軸にDXを次の時代に進化させていく取り組みだと捉えています。
データファーストにより、DXはどのように進化するのでしょうか。まずワークシフトでは、リモート勤務などの物理的な変化から、EUEM(ユーザー体験管理)を通じた従業員の業務体験向上のほか、場所を問わず、仮想環境で働けるメタバースの導入などの内面的な変化が起こると考えています。
一方、クラウドシフトは、AWSなどへのリフトアップやアプリケーションのクラウドネイティブ化といった分散化、複雑化が従来の取り組みでした。
これに対し、データファーストが進むと、マルチクラウド環境での問題の自動検出や自動運用が可能なオブザーバビリティ、分散型データ基盤のデータファブリックといった自動化、効率化が推進されると予想されます。
データシフトでは、データファーストによって、データサイエンティストなど一部の専門家しかデータを活用できない状況から、誰もがデータを使えるようなデータ活用の民主化が起こるでしょう。
3つのシフトを実現するために、並行してデータガバナンスやデータセキュリティの取り組みを進めていく流れになると考えています。
◆パネルディスカッション:DXを進化させるデータファースト戦略
〈パネリスト〉
伊藤忠商事株式会社
情報・金融カンパニー 情報・通信部門 情報産業ビジネス部
部長
関川 潔 様
株式会社シグマクシス
常務執行役員 プログラムマネジメント シェルパ担当
大賀 憲 様
Snowflake株式会社
社長執行役員
東條 英俊 様
〈モデレーター〉
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
エンタープライズビジネス企画室 室長代行
菅野 政治
菅野:はじめに自己紹介をお願いします。
関川:伊藤忠商事に入社後は一貫してデジタルやITの仕事をし、直近5年は伊藤忠グループ全体のデジタル技術活用、DX推進に取り組んできました。現在は、情報産業ビジネス部でITデジタル関連事業の開発、運営をしています。
大賀:社内エンジニアからキャリアをスタートし、その後はERPや経営管理といった社内向けのデータ活用ビジネスに関わってきました。昨今は、経営層やミドル層の方々とともに「両利きの経営」の実現に向けたDX推進を支援しています。
東條:ジャストシステムに入社した後、マイクロソフトやグーグルジャパンクラウドを経て、Snowflakeに2019年9月に第一号社員として参画しました。現在、データクラウドの推進を通じて、企業のデータ・ドリブン経営やDXの支援をしています。
先行投資をして時間的ギャップを早期解消
菅野:大手企業でのデータ活用の阻害要因と、阻害要因をどう乗り越えたかについてお話ください。
関川:2018年頃からデジタルを軸にした事業変革に取り組む中、伊藤忠商事では、デジタル活用の方法への理解不足が阻害要因となっていました。デジタル活用に要するコストや、デジタルによる収益改善効果など、あらゆるナレッジが不足していたのです。
これを踏まえ、弊社は、まずデジタル活用の定量効果を出すために、グループ会社の日本アクセスやファミリーマートなどが関与する食品サプライチェーンの最適化に着手しました。小売から卸売など、各商流間の発注業務の効率化を2〜3年かけて実現した後、最近は小売店向けの配送コストなどを削減し、大きなコスト削減につなげています。
このように、阻害要因を乗り越えられたのは、先行投資をコーポレート側で一時負担することで、成果が生まれるまでの時間的ギャップを解消させたからだと分析しています。また、グループ会社や資本提携先から20人ほど召集し、データ活用を機動的に進める組織体制を作ったのも、データ活用を円滑化できた理由の1つです。
大賀:コンサルティングの立場からは、従来型のKPIやこれに基づく投資方針、縦割り型組織、これらに基づいてデータの最適化が設計されていることが阻害要因だと捉えています。
そうした中でのデータ活用推進で私が注力しているのは、リーダーシップのある方々、つまり経営者層や事業部トップが、事業現場と対話を重ねていただくことです。その上でデータ活用により何が変わるのかを可視化してファクトベースで理解いただき、まずは実践してみることで成功体験を積み、突破していくことです。
また対話を通じて経営層が次世代を理解し、彼らに現場を任せるといったモードチェンジも、DXの加速には必要だと考えています。
菅野:東條様はいかがでしょうか。外資系企業でも大手になると、そうした阻害要因はあるのでしょうか。
東條:国内外を問わず、多くの企業で、必要なデータを必要なタイミングで必要な人にアクセスできる環境を構築できないことが阻害要因となっています。
阻害要因は、システムや業務プロセスなどが孤立し、情報連携が取れないサイロ化が主因です。様々なシステムからデータを集めて整理するデータウェアハウスなど、会社全体でのデータ基盤や、SSOT(Single Source of Truth、信頼できる唯一の情報源)を構築できていません。
逆にデータ基盤やSSOTを構築すれば、経営者にはサマリーデータ、現場には明細データといった形で適切なデータ提供が可能になるでしょう。
企業が横断的にデータを共有できる仕組みづくり
菅野:続いて、データファースト時代にやるべきこと、やりたいと感じることについてお伺いしたいと思います。ご助言する立場として大賀様はいかがでしょうか。
大賀:企業内での部門間のデータ活用に加えて、企業間でのデータ連携が次のテーマだと考えています。生活者のニーズを実現するには業界や産業を越えた企業間連携が必要であり、日本企業が超えるべき課題です。その実現を支援していきたいと考えています。
関川:伊藤忠商事が今やるべきなのは、デジタル推進の内製化です。内製化によって、デジタル技術活用と、経営・ビジネスが密着していないと、化学反応が生まれないと考えています。
内製化と言っても、どんどん人を採用すれば良いかと言うとそうではありません。ITパートナー企業と同じ課題を背負ってもらえるように関係性を構築しながら、内製化を追求する必要があるでしょう。
もう1つは、縦割り構造の打破です。データ活用によって、企業間を横断して生まれる利益をサプライチェーン全体に分配する時、縦割り文化を打破しなければなりません。伊藤忠グループは異業種の会社を複数保有しているため、そうしたチャレンジを行ってみようと考えています。
東條:Snowflakeが目指しているのは、様々な会社が簡単にデータ共有できる環境づくりです。例えば、天気や株価のデータを保有するデータプロバイダーの参画によって、企業の皆さんが即座にデータを使えるといった状態ですね。在庫やPOS(販売時点情報管理)などのデータと合わせ、在庫の最適化を行う環境の構築もできると考えています。
実績づくりのために、ビジネス変革しやすい領域でデータ活用を
菅野:せっかくですので、来場者の皆様からもご質問を募りたいと思います。
来場者:自社でDXに取り組む中、若い社員ほどDXを進めて欲しいという声が挙がる一方、若手社員と経営陣との間に意識の乖離が生じています。こうした温度差はどのように埋め、経営陣を動かしていけば良いのでしょうか。
関川:経営陣に社内の言葉が響かない場合、外部からのささやきが非常に有効です。また、弊社にとってラッキーだったのは、一番影響力のある組織から、データ活用のチームが立ち上がったことです。これにより、外部の支援を得ることなく、データファーストを推進できました。
経営者に向けた実績づくりのために、オペレーション規模の大きいビジネス、工数が多いものや運用コストが高い領域などからデジタル技術の活用を進めるのもおすすめです。定量効果が出しやすいため、勝ち筋のビジネスから狙って進めていきましょう。
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