2004年にリリースを開始したCentOS Projectは、2014年にスタートしたRed Hat との協力により、次世代オープンソース プロジェクトのイノベーションを加速してきました。そして、2020年に発表されたCentOS Streamにより、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) のリビルドである CentOS Linux (CentOS) から、RHEL リリースの直前を追跡する CentOS Stream に焦点を移してきました。さらに、CentOS Streamの登場によりCentOS 8は2021年12月にメンテナンスを終了し、CentOS 7が2024年6月にサポートの終了を予定しています。これまで、CentOSで社内システムやクラウドサービスを構築してきた開発部門は、サポート終了にどのように対応していくべきでしょうか。その背景と対策について考察していきます。
CentOSサポート終了の背景
CentOS Projectは、2020年12月にCentOS Streamの開発に移行しました。CentOS Streamとは、どのようなLinuxディストリビューションなのでしょうか。
その特徴は、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) の守秘義務がないnightly buildをテストした上で公開し、security fixのembargo(非公開期間)や未公開のハードウェアに対応します。そして、問題が見つからなければ、ほぼそのまま次のRHELマイナーリリースになります。CentOS Streamのライフサイクルは、対応するRHELのフルサポート期間終了までと同等で、バグレポート受け付けやパッチ受け付けなどは、Red Hatのエンジニアが直接対応します。そのため、RHELをターゲットとするアプリケーション開発時に、次期リリースとの非互換を早期に検出したいとか、積極的に更新する運用方針のサーバーなどに適しています。
CentOS Streamは、これまでのCentOSの位置づけを変えるディストリビューションで、RHELのダウンストリームという存在から、アップストリームへと発展的に変化しました。そのため、今後もCentOS Streamで開発や運用を継続できるケースもあります。
※(参考) CentOS StreamとRHELの関係
Source: CentOS Stream is Continuous Delivery - Stef Walter - 11 Dec, 2020 | Image licensed CC-BY-SA 4.0
サポート終了に伴うCentOS利用の課題と対策
今後もCentOS Streamを利用できるエンタープライズ環境がある一方で、安定したシステム運用のためには、サポートの継続と質が重視されます。
一口にサポートといっても、大きく3つの意味合いがあります。
- アップデート提供
- 動作保証
- 商用サポートサービス
一般的なサポート終了では、1の「アップデート提供」の終了だと認識されています。バグ対応やセキュリティパッチなどのアップデートが終了してしまうと、そのディストリビューションを継続的に利用するのは困難になります。
ただし、それ以外にも商用で利用する際には、事前にテストされ「動作保証」されている3rd Partyの製品やサービスを利用することで、安心してシステムを運用できるようになります。
そして、安定したシステム運用をするためには、サポートエンジニアによるテクニカルサポートを含む「商用サポートサービス」も重要です。商用サポートを利用することで、システムにトラブルがあった際などの問題解決も迅速に行えるようになります。
そこで、多くのベンダーとも動作保証などでパートナーシップを組み、長年の実績がある商用サポートサービスを提供しているRed Hat Enterprise Linux(RHEL)への移行が注目されています。
Red Hat Enterprise Linux(RHEL)移行のメリット
社内システムや商用サービスのプラットフォームとしてCentOSを利用してきたケースでは、RHELへの移行には、数多くのメリットがあります。そのポイントは大きく次の2点です。
- 安定したライフサイクルと各種延長サポート
- RHEL固有機能の活用でTCOを削減
安定したライフサイクルと各種延長サポート
RHEL 8以降は、3年に1回のメジャーリリースと、6ヶ月に1回のマイナーリリースという、安定したライフサイクルを提供します。
また、Extended Update Service Add-on(EUS)では、マイナーリリースアップデート頻度を緩和します。
そして、2023年のRed Hat Summitで発表されたEnhanced Extended Update Service Add-onでは、EUSの2年を4年に延長できます。
さらに、Extended Lifecycle Support(ELS)延長により、最終マイナーリリースに対して、延長ライフサイクルサポート(ELS)をAdd-onとして提供できるようになり、RHEL 7のELSは4年間に延長されます。
RHEL固有機能の活用でTCOを削減
さらに、RHELでは複雑になるITシステムの運用を簡単かつスケーラブルにする各種ツールも同梱され、追加でリポジトリ管理を自動化したり、パッケージ管理を可視化するツールも利用できます。
おわりに
CTCでは、サポートが終了するCentOSからの移行先は、RHELが適していると推奨します。その理由は、安定したライフサイクル・サポートと各種機能の活用で、システムの構築や運用が楽になるからです。また、条件によっては、RHELの無償利用も可能です。CTCではRHELへの移行前の不安を解消する「移行アセスメントサービス」も提供しています。
詳しくは、資料をダウンロードしてご参照ください。
- カテゴリ:
- デジタルプラットフォーム