データウェアハウス活用の力
~DWHがもたらす業務改革~

 2024.03.29  デジタルビジネスシェルパ

データウェアハウス(以降DWHと表記)は、企業内のサイロ化されたデータを統合し、一元管理を行うための重要なツールです。近年ではデータ利活用を推進する企業が増えており、データ利活用の取り組みの中で積極的に採用されています。この記事では、DWHの役割と活用方法、そしてなぜ企業内でサイロ化しているデータを統合する必要があるのかについて解説します。

データウェアハウス活用の力~DWHがもたらす業務改革~

図1 データ利活用の全体像

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DWHの概要

DWHは、企業内の異なるシステムからデータを集めて格納し、管理するシステムのことです。DWHと他のツールとを組み合わせてデータから洞察を得るのに役立ちます。
DWHを利用するにあたり、そもそもなぜ企業内のデータは部門ごとに分かれて保管されているのでしょうか。そして、なぜわざわざ統合する必要があるのでしょうか。理由を解説していきます。

企業内のデータが部門ごとに分かれて保管される背景には、主に組織の構造や業務の特異性、セキュリティ上の理由などがあります。各部門は独自の業務や目標を持ち、それに伴ったデータを集め、管理することで、部門内での効率的な業務遂行が可能になります。

しかし、昨今では全体最適化や企業全体として戦略的な意思決定をしていかなければ、ビジネスでの競争に勝てなくなってきています。そのため、データを統合し、分析することで多くのメリットを享受することができます。例えば、統合されたデータは企業全体の状態を把握しやすくします。これにより、全体最適化が可能になり、より戦略的で効果的な意思決定が行えるようになります。異なる部門のデータを総合的に評価できるため、リソースの最適利用や課題への迅速な対応が可能になるなど意思決定の向上につながります。その他にも、統合されたデータは柔軟性があり、新たな課題や機会に対応する力を高めます。急速に変化するビジネス環境に適応しやすくなり、迅速な意思決定や市場変化への対応力が高まります。
上記は一例に過ぎませんが、企業がDWHを導入してデータを統合することは、単なる効率改善だけでなく、将来の成長や変化に対応する基盤を築く重要なステップと言えます。
現代では様々なデータをまとめて多角的に分析するというニーズが高まってきており、そこでDWHを活用し分析用データを管理、運用することが求められているのです。

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DWHである理由

データ利活用においてデータ統合を進める必要があると述べてきましたが、なぜDWHなのか、リレーショナルデータベース(RDB)ではできないのかについて解説します。RDBは、データの保管と正確性の担保を目的としております。しかし、データ利活用の観点から見ると、RDBだけでは対応できない課題が存在します。RDBは一般的にトランザクション処理が得意であり、特定のデータを素早く取り出すことが得意ですが、大量のデータを結合して分析するのは得意ではありません。また、RDBは主に現在進行中のデータを管理することに適していますが、時系列データや過去のデータを継続的に蓄積し、分析するには限界があり、大容量のデータや複雑なクエリには向いていません。一方でDWHは膨大なデータを高速に処理が可能で、時系列に沿ったデータの格納や分析が得意であり、企業が過去のデータから学び、将来の方針を立てるのに適しています。そして、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールとの親和性が高く、BIツールは膨大なデータを分かりやすい形で視覚化し、分析するのに適しています。総じて、DWHは企業が複雑で分散したデータを一元化し、分析しやすい形に整えるために必要な機能や特性を持っています。これによって、企業はデータをより効果的に活用することができます。

DWHの導入における注意点

データ利活用を進める上で気を付けなければいけないポイントがあります。DWHを導入する前に何を達成したいのか、どのような情報を得たいのかを明確にし、それらに基づいてDWHの選定や導入を進めることが重要です。最初の目的がぼやけていると、適切なデータの統合やその先の分析が難しくなり、失敗しかねません。次に、データの品質管理を行うことです。ここでの品質とはデータの単位や粒度を考えます。DWHに統合されるデータの品質は分析結果に直結します。異なるソースからのデータは品質が異なることがありますので、入力データの品質チェックやクレンジング仕組みを構築することが必要です。最後に、これにより、長期的な視点でDWHを運用し、ビジネスの変化に適応することができます。新しいデータソースや分析のニーズが発生した際に、柔軟に対応できるようDWHはスケーラビリティを考慮して設計するとよいでしょう。

DWHのデータ活用

DWH内のデータを用いた活用例を3つ解説していきます。

  1. BIツールを用いたデータの分析・可視化
    BIツールは、データを分析し、分かりやすい形で可視化するソフトウェアです。BIツールはRDBやDWHから情報を取得し、レポートやダッシュボードとして表現します。BIツールを利用することでデータの理解を促進することが可能になり、データをより多角的な視点で深堀するように分析していくことで新たなインサイトを得ることが可能となります。得られた結果を社内で共有することで組織全体を通して高度な実態の把握を可能にします。
    https://www.dx-digital-business-sherpa.jp/blog/data-utilization
  2. AIや機械学習を用いた予測と最適化
    統合したデータはAIを用いてデータの傾向や特徴を分析することで将来的な数字の動きを予測することができます。また、様々なケーススタディを機械学習させることで特徴のある事象を検知してチャンスの早期発見や危機検知など重大なイベントの予兆を逃さないようにすることが可能です。
  3. コスト削減と効率化データを統合することで、データを個別に管理していた運用費を削減することが可能です。また、データを統合することでユーザーがデータを参照するまでのリードタイムを減らすことができ、業務部門での作業効率化が図れます。

まとめ

DWHは、企業内のデータを統合し、一元管理することで、全体最適化や戦略的な意思決定をサポートします。企業内のデータが部門ごとに分かれている背景には組織構造や業務の特異性がありますが、これを統合することで分析において情報の一貫性が向上し、信頼性の高い情報にアクセスできるようになります。
DWHを選択する理由は、通常のRDBとは役割が異なる点が挙げられます。DWHは大容量のデータを高速に処理でき、将来の変化にも柔軟に対応できます。導入時には目的の明確化、データ品質管理、将来的なスケーラビリティの考慮が必要です。
DWHとBIツールやAI・機械学習を組み合わせてデータを分析し、可視化することで新たなインサイトを得ることで次のビジネスへとつなげていくことができます。

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