近年のGPUの発展によって、主要CADソフトウェアメーカーが続々と仮想化環境への対応を進めており、VDI(デスクトップ仮想化)化が当たり前の時代になってきました。
では、従来のCAD環境をVDI化することによって、設計者やデザイナーはどのようなメリットを得られるのでしょうか。
本記事では、CAD-VDIのメリットを解説しつつ、環境の構築をサポートするCTCの取り組みについてご紹介していきます。
CAD-VDIとは
VDIとは「Virtual Desktop Infrastructure」の略称で、日本語では「仮想デスクトップ」という意味です。 通常はパソコンで行っている処理を、仮想化されたデスクトップ環境で実行することで、環境の一元管理やセキュリティの向上が見込めます。
CAD(computer-aided design)とは、「コンピューター設計支援」を 意味し、これまで手作業で行われていた設計や製図製作を、コンピューターを使って自動化するテクノロジーのこと。
つまりCAD-VDIとは、グラフィック仮想化によってVDI化されたCAD環境のことを指します。
これまで物理的にデータを持ち出す必要があり、セキュリティ面に不安があったCADを仮想化できるようになったことで、柔軟な働き方が可能に。建築業や製造分野を中心に需要が高まっています。
CAD-VDIが設計現場にもたらすメリット
主に建設現場や製造現場で導入が進むCAD-VDIですが、設計現場にどのようなメリットをもたらしてくれるのでしょうか。
設計業務エリアの制約解除
従来の端末では専用エリアに設置する必要があり、設計業務を行う際は執務エリアから移動しないと利用できませんでした。そのため、作業スペースが圧迫されてしまうことになり、設計者やデザイナーの業務効率低下を招く原因になっていました。
CAD-VDI環境を構築することで、必要なマシンはすべてサーバ上で管理され、自席からOA端末で利用が可能になり、業務エリアの制限が解除されオフィススペースを快適にすることができます。
円滑なミーティング
設計関連のミーティングを実施する際、準備に時間がかかるだけでなく担当者の負担も大きく、特に外出先ではデータコピーや暗号化など社外に持ち出すだけでも一苦労でした。
しかし、CAD-VDI環境ならネットワークに接続されてさえいれば、会議室端末やノートPCから自分のCAD画面を表示させミーティングが可能になります。
会議でひらめいた設計アイディアをその場で変更し図面に反映することで、スピーディーなミーティングを実現し、業務効率を大幅に向上させることができます。
快適な設計環境の実現
ワークステーションはOA端末と比べ大きな騒音・排熱を発する為、CADルームの室温が高くなり、設計者やデザイナーの業務効率を下げる要因になっていました。
ワークステーションを仮想化してマシンをすべてサーバルームに集約するCAD-VDI環境なら、CADルームの室温を下げ快適な作業環境を提供します。
快適かつ柔軟な環境を手にしたことで、これまでワークステーションに縛られることが多かった設計者も、リモートワークやテレワークといった自由な働き方の実現も可能になるでしょう。
データ転送時間の短縮
従来のCADでは、拠点間のネットワークを介してデータのやり取りをする為、読み書きや他拠点への同期に時間がかかっていました。さらに、図面データを分散することによる管理や、セキュリティ面でも問題がありました。
CAD-VDI環境では、データはすべてサーバルーム に集約されるため、円滑なデータ管理、共有が可能です。データ転送時間の短縮による業務効率向上だけでなく、セキュリティ体制の強化にもつながります。
CAD-VDI導入をサポートするCTCの取り組み
CTCでは、グラフィックス仮想化技術「NVIDIA GRID vGPU」を業界でいち早く取り扱いを開始し、CAD-VDI環境の構築を支援する様々な取り組みを実施しています。
ITワークプレイス導入関連サービス
CTCでは、過去の豊富な導入実績、運用実績のノウハウを駆使して導入前や導入後のサービスを強化。
お客様の投資対効果を最大化するためにノウハウをコンサルに集約させ、企画・構想段階〜CAD-VDI運用までの流れをワンストップで提供しています。
社外への情報発信
CTCではさらに、「デスクトップ仮想化」「働き方改革」をテーマに、製造業向け関連記事を掲載。
アメリカの大手IT企業「NVIDIA」、「Citrix」と協業して、積極的に社外へ情報発信も行っています。
CAD-VDI運用のポイント
CAD-VDI環境の構築の流れを大まかに説明すると、検討→アセスメント検証→システム設計→構築→運用設計→展開→運用サポートの順に進めていきます。
CAD-VDIの導入において重要になるのが、前(検討・アセスメント検証)と後(運用)です。
検討/検証
導入し運用後に大きな変更は困難であるため、導入前フェーズはもっとも重要なポイントになります。
重要なのは、「導入目的の整理」「利用形態の定義とグルーピング」「DT仮想化方式割当」に加え、本番導入を想定した検証を実施することです。
CAD-VDIでは特にユーザビリティが重要視されるため、利用想定ユーザー(設計者)を巻き込んで、操作性や画質などの観点から仮想WSの業務適合評価を決めていきましょう。
運用の秘訣
CAD-VDI運用を成功させるためにまず大切なのが、早期にインフラ担当とCAD担当で協調して進めていくことです。
シンプルですが必要不可欠なポイントで、インフラ担当は要件定義や基本設計、運用などのCAD-VDI基盤の部分を担当し、CAD担当はソフトや関連システムの見直し、動作確認といったCAD-VDIに適した設計部分の担当というように、役割を明確にして業務を円滑に進めていきましょう。
まとめ
CADのVDI化は決して簡単ではありませんが、設計現場の業務効率を激的に変えるかもしれない今注目のテクノロジーの1つです。
今回はCAD-VDIのメリット、環境構築の詳細についてご紹介しました。
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