対話型チャットサービスであるChatGPTは、2022年11月に公開されて以降、圧倒的な利便性から利用者が急増し続けています。本記事では、自社の業務効率化や競争力の向上などに取り組む企業の経営層やIT担当者の方に向けて、ChatGPTの活用事例や注意点を紹介します。
ChatGPTの上手な利用で得られるビジネスの効果
ChatGPT(チャットジーピーティー)は、米国・OpenAI社が開発した、AIによる対話型チャットサービスです。ユーザーが与えた少量のテキスト(プロンプト)から、インターネット上の膨大な情報をもとに、適切と思える(もっともらしい)回答を瞬時に生成します。たとえば文章の作成や要約、プログラミング、アイデア出しなどに利用でき、すでにビジネスシーンでも活用されはじめています。うまくフィットすれば、従業員業務を効率化し、より多くのリソースをコア業務に投下できるようになります。
ChatGPTの仕様や特徴、始め方、使い方などについて詳しくは、以下の関連記事をお読みください。
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ChatGPTのビジネス活用事例7選
ChatGPTのビジネスでの活用事例としては、メール文の作成、業務マニュアル文の作成、文章の要約、記事の構成と文章の作成、表計算ソフトの関数算出、プログラミング、企画のアイデア出しなどがあります。
依頼メールの文章作成
ビジネスマンにとってメールのやり取りは業務に欠かせないものであり、メール文の作成には多くの時間を割かざるを得ません。ChatGPTは、以下のようにビジネスメールの文章を作成してくれます。
プロンプトの例:
田中課長に新規事業に関する打ち合わせに出席してもらいたいと考えています。場所は第一会議室、日時は今日の16時からの出席依頼メールを作成してください。150文字程度で。
出力:
件名:本日16時の新規事業打ち合わせについて
田中課長へ
急なお願いとなりますが、新規事業に関する打ち合わせにご出席いただきたく存じます。場所は本日16時より第一会議室で行います。ご多用中かと存じますが、何卒ご都合をお教えいただければと存じます。何かご質問等がございましたら、ご遠慮なくお知らせください。よろしくお願いいたします。
業務マニュアルの文章作成
業務について十分に把握できている人でも、業務マニュアルを一から作成することは容易ではありません。ChatGPTを利用すれば、業務マニュアルの文章も作成できます。出力された文章をすべてそのまま使用できるわけではありませんが、マニュアルの作成が格段に楽になります。
プロンプトの例:
社内会議運営のマニュアルの例を作成してください。200文字程度で。
出力:
社内会議運営マニュアル:
- 会議招集は予定の1週間前までにメールで通知。
- 議題は明確に記載し、事前に配布。
- 遅刻は避け、スマートカジュアルな服装が望ましい。
- 資料は電子形式で提供し、プリントは最小限に留める。
- 議事録は原則24時間以内に配信。コメントは1週間以内にフィードバック。
- 会議後のアクションアイテムは担当者を確定し、期限を設けて追跡。
文章の要約
ビジネスマンにとっては、上述したメールや業務マニュアルのほかにも、会議の議事録や、業務に参考になりそうなWeb記事など、読まなければならない文章は数多くあります。ChatGPTは文章を要約することもできるため、「時間がないから、とりあえず重要な部分だけを把握したい」というニーズにも応えられます。数千文字程度の文章であっても、重要な部分のみを抽出してわかりやすくまとめてくれます。
プロンプトの例:
次の文章を要約してください。100文字程度で。丁寧語は省略。
【文章】
※【文章】部分は、本記事の冒頭で紹介した記事「ChatGPTとは? 始め方や使い方、日本語アプリについて解説!」の内容としました。ここに全文を記載すると長くなるため割愛します。
出力:
ChatGPTはOpenAI社が開発したAIチャットサービスで、自然な言葉で応答する能力があります。大規模な言語モデルLLMを使用し、自然言語処理アルゴリズムと強化学習を組み合わせています。無料版と有料版(ChatGPT Plus)があり、GPT-4も利用可能。質問回答、文章添削、翻訳、コード記述など多岐にわたるタスクが可能。利用には機密情報の注意が必要で、有料版には優れた利点があります。
記事の構成と本文作成
コーポレートサイトやオウンドメディアなどを運営している企業は日々、記事を更新しなければなりません。ChatGPTを利用すれば、記事の構成や本文も出力してくれます。
プロンプトの例:
SEO対策記事を作成したい。キーワードは「AIツール 時短」で、ターゲットはビジネスマン。構成案を作成してください。とりあえず大見出しのみ。各見出しの細かい解説は不要。
出力:
導入:ビジネスマンの時間を効率的に活用するためのAIツール
AIツールのメリットとは?
時短効果抜群!ビジネスにおけるAIツールの具体的な活用方法
選び方のポイント:ビジネスに最適なAIツールの選択ガイド
成功事例:AIツール導入で実現したビジネスマンの効率向上
今後のトレンド:ビジネスにおけるAIツールの進化と展望
注意点と解決策:AIツール導入に伴う課題への対処法
まとめ:ビジネスマンの生産性向上に向けたAIツール活用のポイント
表計算ソフトの関数を算出
業務でExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトを使用している方も多いと思いますが、どの関数を使うべきかわからないことも少なくないはずです。実現したい内容をChatGPTに伝えれば、適切な関数を教えてくれます。
※出力された関数を実際に使用する際には、正しい結果が出るかどうかの検証が必要です。
プロンプトの例:
Excelにおいて、特定の条件を満たすセルのみの合計を算出したい。適当な関数はありますか? とりあえず関数名だけ教えてください。
出力:
特定の条件を満たすセルの合計を算出するためには、SUMIF関数またはSUMIFS関数を使用します。
プログラミングのコード作成
ChatGPTはコード作成にも活用できます。初心者からベテランまで、エンジニアの業務負担軽減に貢献します。
※出力されたコードを実際に使用する際には、期待通りの動作をするかどうかの検証が必要です。
プロンプトの例:
JavaScriptにおいて、ボタンをクリックすると「こんにちは!」というメッセージが表示されるようにしたい。実現するコードを教えてください。body部のみ。解説は不要。
出力:
<body>
<button onclick="alert('こんにちは!')">クリック</button>
</body>
企画のアイデア出し
ChatGPTに壁打ちの相手をしてもらうことも可能です。壁打ちとは、誰かに話を聞いてもらいながら自分の考えを整理し、言語化することです。これにより、画期的なアイデアが閃くきっかけになるかもしれません。
プロンプトの例:
お客様との接点を増やすようなイベントを開催したい。よい案はありますか? お客様が気軽に参加できるものがよい。100文字程度で。
出力:
ワークショップやデモンストレーションを通じて、製品やサービスの魅力を体験できるイベントを企画しましょう。参加者にはプレゼントや割引を用意して、楽しみながら製品に触れる機会を提供します。
教育機関やメーカーなどの具体的な活用事例について詳しくは、以下の関連記事をお読みください。
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ChatGPTを利用する際の注意点
ChatGPTはビジネスシーンにも活用できる便利なチャットサービスですが、デメリットやリスクもあります。ここからは、ChatGPTの利用時に注意すべき点について詳しく解説します。
回答の精度はプロンプトに依存する
ChatGPTの回答の精度は、ユーザーが入力するプロンプトに依存します。プロンプトの内容によっては、ChatGPTがユーザーの意図を正しく把握できず、期待するような回答が出力されないかもしれません。ChatGPTの力を最大限に発揮させるには、プロンプトの作り方を工夫する必要があります。たとえば、具体的に伝えること、条件を指定すること、紛らわしい表現をしないことなどが重要です。
ファクトチェックが必要となる
ChatGPTの回答は必ずしも正しいわけではありません。ChatGPTはインターネット上の膨大な情報をもとに回答を生成していますが、誤った情報を参照している場合もあります。ChatGPTの出力した回答のファクトチェックは必ず行ってください。
ChatGPTの回答には、著作権を侵害する情報が含まれていることもあります。たとえば、自社のWeb記事などに反映する場合には、著作権法に抵触する表現はないか、よく確認する必要があります。
情報漏洩のリスクがある
ChatGPTに入力したプロンプトの内容は、ChatGPTの学習のために利用されます。これは、入力したプロンプトがほかのユーザーへの回答に反映される可能性があることを意味します。仮に機密情報を含むプロンプトを与えたとすれば、その情報は漏洩する恐れがあります。
まとめ
ChatGPTは、文章の作成や要約、プログラミング、アイデア出しなど、幅広いビジネスシーンで活用できます。ファクトチェックの必要性や情報漏洩のリスクなど、使用するうえでの注意点もありますが、うまく活用すれば、自社の業務効率化や競争力の向上につながります。ChatGPTは簡単に使用できますので、この機会に導入を検討してみてください。
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