情報通信技術の進歩・発展に伴い増大しつつある経営データを効率的に運用するためには、各部門に分散している業務データを統合的に管理しなくてはなりません。
そこで重要となるのが、「データ統合基盤」の構築です。
本記事では、データ統合基盤の概要や導入するメリットなどについて詳しく解説します。
データ統合の課題
20世紀後半から21世紀初頭にかけてIT革命が起こり、情報通信技術の進歩に比例してさまざまな産業が発展を遂げました。しかし、テクノロジーの進歩・発展に伴って、企業が取り扱うデータ量は指数関数的に増大しており、膨大な経営データをいかにしてビジネスに活用するかが重要な課題となっています。
そこで必要となるのが、組織内の経営データを集約して一元的に管理する「データ統合」です。
企業の業務データは一般的に、各部門の情報システムによって個別に管理されています。この各部門に分散している業務データを一元化して統合的に管理できれば、定量的なデータ分析によって経営状況が可視化され、意思決定の迅速化や事業部を跨いだ業務連携の強化につながります。
しかし、このような経営データを統合的に管理できる環境を整えるためには、相応の要件を備えたITインフラの構築が必要です。既存のシステム環境によってはITインフラを刷新する必要があるため、大企業のような資金力をもたない中小企業にとって簡単なことではありません。
「一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会」と「株式会社野村総合研究所」の調査によると、アンケートに回答した企業の約90%が老朽化したITシステムを抱えており、そのうち約80%は「レガシーシステムがビジネスの足枷になっている」と回答しています。
レガシーシステム脱却の必要性を感じながらも、ITインフラを刷新するコスト面やリターンの不透明性から投資に踏み切れない状況が見て取れます。つまり、経営データの統合管理を実現するには、ITインフラをどのようにして整備するかが課題といえるでしょう。
参考:「デジタル化の取り組みに関する調査」
データ統合基盤とは
「データ統合基盤」とは、オンプレミス環境やクラウド環境に分散する、あらゆるデータを一元的に管理するソリューションです。たとえば、各部門に散在している基幹業務システムや、オフィスソフトやグループウェアといった情報系システム、顧客関係を管理する「CRM(Customer Relationship Management)」、クラウド上に構築されたITインフラなどのデータを一元化して統合的に管理します。
事業活動に関わるすべてのデータを統合することで、財務・会計・生産・販売といった部門間連携の強化はもちろん、Webサイトのアナリティクスデータと営業活動で得た顧客情報との連携、的確な需要予測や市場分析に基づいた製品開発などが可能になります。また、組織の稟議・申請作業におけるワークフローの効率化や、それに伴う人件費削減やペーパーレス化による経費削減など、データを統合管理するだけでなく、組織全体の業務効率や生産性の向上に寄与するソリューションです。
データを統合するメリット
データを統合的に管理することで得られるメリットとして、主に3つの要素が挙げられます。それが「情報サイロ化問題を解決」「データ分析の自動化」「AIによる情報解析が可能」です。ここからは、データ統合の具体的なメリットについて見ていきましょう。
情報サイロ化問題を解決
「情報のサイロ化」とは、各部門や情報システムが独立しているために部門間連携が図れず、全体のなかで孤立している状態を指します。冒頭で述べたように、企業の業務データは各部門の情報システムによって個別管理されているのが一般的です。この状態では、部門を跨いだ情報共有は困難であり、経営判断の迷いや意思決定の遅れを招きかねません。データを統合的に管理できる環境を構築することで、情報サイロ化問題を解決し、部門間連携の強化と意思決定の迅速化に寄与します。
データ分析の自動化
データ分析には、情報の収集・蓄積・分析・可視化というプロセスが必要であり、データ量が多くなるほど解析に必要な時間も増大します。組織内のデータを集約して一元的に管理できれば、収集・蓄積・分析・可視化のフローが効率化され、データ分析の半自動化が可能です。また、膨大な業務データを収集・分析し、経営の意思決定をサポートするBIツールと連携することで、より効率的かつ効果的な経営データ分析が実現します。
AIによる情報解析が可能
現代はAIやIoTによる技術革新「第四次産業革命」の過渡期といわれています。このような時代において、企業が新たな市場価値を創出していくためには、AIやIoTの活用が不可欠といえるでしょう。AIやIoTといった最先端テクノロジーを事業に活用するためには、相応の要件を備えたビッグデータ分析基盤と、経営データを収集する情報システムを構築しなくてはなりません。データ統合によって組織内のデータを集約できる仕組みが構築できれば、ビッグデータ分析基盤と連携して、AIによる情報解析が可能になります。
「Snowflake」でデータ統合基盤を構築
データ分析や利活用を目的として、企業内に分散したデータを集約・一元管理するDWaaS(Data Warehousing as a Service)を提供するSnowflakeは、企業に蓄積される膨大なデータを統合するクラウドサービスであり、高い拡張性や複数処理の同時実行などによって高速なデータ処理を実現しています。クラウドという特性を生かし、俊敏なコンピュートリソースのクラスタリングを実現し、それによる分散処理によりストレージの負荷を下げ、最適なパフォーマンスをチューニングします。また複数のアベイラビリティーゾーンを使用していることから高可用性も実現しています。
まとめ
テクノロジーの進歩・発展に比例して加速度的に変化していく市場に対応するためには、定量的なデータ分析に基づく経営戦略が必要です。そのためには、各部門に点在している情報システムの業務データを集約し、統合的に管理できる仕組みを構築しなくてはなりません。競争が激化する市場のなかで競走優位性を確立するためにも、ぜひデータ統合に取り組んでみてください。
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